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始まり
最近、毎日同じ用件の事件が起きる。その事件というものは「災厄者」というものからの被害にあたる。
災厄者とは、1週間前に日本各地に舞い降りた侵略者。空に浮かぶ気球のようなものから箱型の物体が落ち、地に着けばそれは、人間と同じ形をしてどこかに行っていつの間にか消えてしまう。災厄者の半径1メートル以内に人間が入るとその人は一定の時間、気を失ってしまうという。
1週間経った今でも、国民のすべてがこの状況を飲み込めていないことを怖く思う。
ニュースで災厄者の落ちる時間や、今の状況の知らせを毎日毎日、いやになるほど聞いている。
だが、雨の日はちがう。4日前と2日前に2回ほど、大雨が降った。その時に「気を失ってしまった」という通報がぴたりとやんだという。災厄者の情報もなかった。
そして、我が国民たちは確信したのだった。雨の日は災厄者がこの地にいないということを。