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アーリア  作者: 猿蟹月仙
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第11話『鳴り響く太鼓』

 行くあての無い旅路。それでも、目的が無い訳じゃない。

 アーリアが川底の世界から戻った先は、まったくの見知らぬ荒野だった。

「参ったなぁ~・・・取り合えず!」

 ぐるり見渡すが、建物らしき影も煙も見えない。

「取り合えず、あそこを目指しますか!」

 ぐるっと腕を回し、真っ先に目に付いた丘陵地を指差した。そこからなら、更に周囲を見渡せそうだ。

 日はまだ高い。

 アウリーリンが連れ出してくれた場所なんだから、そんなに困る様な場所じゃないだろう。そうたかをくくっていた。


 上を向いて歩こ~♪


 腕を振って歩こ~♪


 足を上げて歩こ~♪


 歌を歌って歩こ~♪


 歩き出すと、即行で歌が口からこぼれた。

 軽く汗をかく程度の歩幅で、藪草を押し分け、くねくね走る獣道を歩き、小さな流れをまたいだ。

 流れの先には泉があり、そこで喉を潤すと再び歩く。


 風はまだ温かいが、乾いていた。

 一陣の風が吹く度に、汗がすっと引く感じがある。それが清々しい。


「あれ?」

 ふと立ち止まると、改めて周囲を見渡した。

 何かが聞こえた様な・・・

 目を瞑り、感覚を集中する。


 聞こえる・・・何かのリズムが・・・至極単調な・・・


 風が僅かな振動を運ぶ。


 駈けた。


 アーリアはその気配へと駈けた。丘向こうへと駈けた。


 息せき切って駈け上がると、その向こうをさっと見渡し、目と耳で探す。


「いた!」

 遠く藪を走る、幾筋もの影。

 太鼓の音を響かせ、もどかしいくらいにゆっくりと動いている。それだけここから離れている訳だが、ゴブリン鬼の類だったら厄介だ。

 幸いこれだけ離れていれば、こちらが気付かれる事もそうないと思えた。

「いたけど・・・」

 そっと身を屈めた。


 どうしよう・・・

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