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love storys  作者: 皐月 誘
7/9

出会いのメロディ

1年目の入学直後のお話で、主人公は登場率一番な朝穂定。

小さな小さな恋の始まり。

一目惚れなんて、信じてなかったし…少しバカにしてたくらいだし…。



出会いのメロディ side定



俺は耳を押さえた。

「耳ふさいだって無駄だぞ。入学して1週間にもなるのに…友達の1人も出来ないなんて…情けないにも程があるぞ。」

ふさいだ手のひらをむなしくもスルーして泉の言葉が耳に…心に刺さる。

入学から1週間。

俺があいさつ以外の会話を出来るのは中学から一緒の泉だけだ。

「わかってるよ…。俺だって友達くらい作りたいし…出来れば彼女だって…。」

「彼女って…お前、中学の時付き合ってた他校の子は?」

伊織の存在は話した事はあるが、そんなに詳しい事や、フラれた事、そしてまさか同じクラスに元カノがいる事などは話していない。

「…だいぶ前にフラれたよ。」

「へぇ。せっかく出来た初めての彼女だったのにな。」

泉はたいして驚く様子もなく言った。


伊織と出会ったのは、俺が伊織の中学に練習試合に行った時。

試合が終わって、帰ろうとした俺はタオルを忘れて来た事に気づいて、急いで戻ったんだ。

そこに居たのが伊織。

そう…丁度この曲が校舎から溢れ出して校庭に響いて…。


「えっ…何でこの曲…?」

ふと意識を戻すと、校舎に溢れる思い出の曲。

この曲は伊織を迎えに彼女の学校へ行くたびに聞いていたんだ。

聞き間違えるハズがない。

「ちょっと定!いきなりどこ行く気?」

呼び止める泉を無視して、走り出す。

向かう先は考えるまでもなく曲の出所…音楽室だ。

階段を2階分かけあがるだけで息切れするようなやわな鍛え方していないおかげで、音楽室にはすぐに辿り着いた。

少し深呼吸して、ゆっくり戸を開ける。


なんて言ったらいいんだろう…?

俺は言葉を失った。

窓際に腰掛け、フルートを吹く少女。

その髪をなびかせる風と共に舞い込む桜の花びら。

全てを包み込む音楽。

俺は頬が自然と熱くなるのを感じていた。


「へぇ。凄く上手じゃん。ソレ、何て言うの?フルート?」

隣から聞こてくる声にビクッとする。泉が追い付いて来たことに全く気づいてなかった…。

「…泉くんと朝穂くん。」

彼女がキョトンとしてこちらを見る。

なんで…名前を?

「おい。泉!お前、知ってる人か?」

俺はなるべく声をひそめ、それでも勢いよく泉に尋ねた。

「なんで定は知らないかなぁ。同じクラスの山野雪。俺の幼なじみだよ。」

俺が声を潜めた意味は、泉の声の大きさに無意味なものになる。

「同じクラス?幼なじみ?」

本当にこんな可愛い子、クラスにいたか?

って言うより…泉の幼なじみって…。

「そう。話すのは初めてだよね。でも話は伊織から良く聞いてたよ。サッカーが上手で自慢の彼氏だって!あっ伊織とは中学からの友達なんだ。よろしくね、朝穂君。」

伊織の友達って…俺はどこまで運がないんだ…。

ちらっと横にいる泉を見ると予想通り笑顔を浮かべている。

俺は他の誰よりもよく知っている。笑顔の泉が一番怖いんだ。

「へぇ…伊織って同じクラスの冬岡のことだよね?初めて聞いた。」

楽しそうに笑うなよ。

逃げ出したくてたまらなくなる。

「泉…そろそろ帰るぞ。」

無理矢理に泉を音楽室の外へ追い出す。

俺もすぐに出ようとして、思い出したように振り返る。

「あ…あのさ…。」

キョトンとした彼女が目の前にいる。

熱くなる頬を感じながら、それでも自分の背中を押す。

俺だってヘタレでいたいわけじゃない。

「あの…伊織とは中学卒業前に別れてるから。んで…また聴きに来ていいかな?」

言うだけ言って、返事を待たずに音楽室を飛び出した。

「定…。真っ赤だよ。なんだか…いろいろ聞かないといけないことがあるみたいだな。」

泉が意地悪な笑顔で待っていた。

真っ赤な顔は一気に真っ青になる…。



ゆっくり流れ始めた、それが2人の出会いのメロディ。

更新が遅れてます。ごめんなさい。

久しぶりの更新だけど、感想いただけると嬉しいです。

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