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自宅警備兵  作者: SIN


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49/50

23 th BREAK

 夕食が終わった後、酒を買いに行く為3度目のスーパーに、今度は全員でゾロゾロと行く事になった。

 皆の後姿を見ながら歩き、そのまま駅に向かってしまいたいのを押えてスーパーの中へ。

 カゴを持ち、徹夜になるだろう事を見越して酒だけではなくスポーツドリンクも買い、他にも何か買おうかと店内を見渡すと、通路の向こうに姉が見えた。

 遠くを眺めながら何かを探しているような動作を繰り返し、後ろから来た弟に何か言っている。

 また何かキレるポイントでもあったのだろうか?と真っ直ぐ近付く。

 俺は通路の真ん中辺りにいて、姉は端の方。店内を見回していた姉は当然俺の姿を何度か見た筈だ。

 にも拘らず、微妙に聞こえて来る話の内容は、

 「SIN何処行ったか知らん?」

 「知らんで」

 距離にして3メートルあるかないかの場所に立っている人間を2人して探しているのだ。

 まぁ、冗談なのだろう。

 軽く流し、そのままビーフジャーキーを探しに店内をウロウロしていると、

 「お母さん!」

 と、甥の声が結構近くで聞こえた。

 顔を上げてみると甥は同じレーンにいて、店内をキョロキョロ見渡している姉の服を左手で引っ張り、右手を俺に向けていた。

 「お母ぁさん!」

 落ち着きなく姉の服を懸命に引っ張る甥を見下ろした姉は、その指差されている方向に気が付いたのだろう、ゆっくりとこっちを向いた。

 「お前何処おったん?」

 ズットここにいましたけど!?

 しかし、俺の存在感の薄さは今に始まった事ではないので、気にしない事にした。

 それぞれの買出しが終わり再開する2次会は、甥と姪、旧母親に睡魔が襲いかかってきた11時頃にお開きとなった。

 飲み会に使われていた部屋が旧母親の部屋だったので、3次会は姉の部屋で開催される事に。

 夜だと言うのにもかかわらず、少々大きめにかけられるBGMはヴィジュアル系である。なので当然、

 「お前ら五月蝿い!」

 と、言う事になる。

 舌打ちをした姉が音量を落とした所で「乾杯」と小声で仕切りなおす弟。

 グイッとチューハイを飲む頃には弟と姉による世間話が始まっていた。内容は車関係の話と、仕事の話、そして恋話。

 ヨッパライ2人が繰り広げる恋話は、独自の恋愛感を披露するスピーチ大会のようなのだが、流石はヨッパライ、言っている事が極端に可笑しい。

 「男なんかクソ」

 と言い放った姉は、子供好きな人と再婚した方がー…と、自分で自分の言葉を否定するし、弟は、

 「最近の女は顔の区別が付かん」

 と、オッサンのような台詞を吐いた。

 「じゃあ、どうやって見分けてん?」

 興味深そうにグッと弟に顔を近付けた姉は、ニヤニヤしながらビールを飲む。

 「体型」

 体型!?

 服装とか、髪型とか、声とか、色々ある中で体型!?

 「似たような人が3人おったら、どう見分けるん?」

 思わず質問をしてしまった。

 「体型A、B、C」

 ゲームの雑魚敵か!かなり面食いの癖して何を言うかヨッパライ!

 恋話が落ち着くと弟は徐に横になり、そのまま徐々に口数が減り、やがて寝落ちた。なので残っている酒を持ってダイニングに移動し、間髪入れずに始まる4次会。

 軽く3時を過ぎてから始まった4次会では、飲めないくせに日本酒を飲んでしまった姉がグデングデンになりつつも甥と姪の話を披露した。

 その流れから、弟の誕生日祝いをしてくれた甥と姪の誕生日を何気なく聞いてみた。

 「誕生日いつなん?」

 至って普通の聞き方だと思う。それなのに姉はガバッと顔を上げると、俺を縦方向に何度も往復して睨み付け、

 「施しはイラン」

 と。

 旧母親は肉代を少し出すと言った事に対して、姉は甥と姪の誕生日を聞いた事に対して同じく「イラン」と気分を害した。

 プレゼントとか、そういった物に対する嫌悪感でもあるのだろうか?だとしたら、とんでもない爆弾を仕掛けてしまった…。

 化粧台の上、手鏡の下に置いたタバコ2箱を回収しなければ!しかし、化粧台は旧母親の部屋にあり、その部屋の扉はしっかりと閉まっている。ダイニングには酔っているとはいえ姉がいるから下手に動けない。

 旧母親がトイレに入るのを待つ?それとも朝食の時に…置く場合と違って、回収する場合は見られた時が厄介過ぎる!

 甥や姪がいる中で、泥棒のような真似をする事は教育的に非常に宜しくない。だからと言ってなにもしなければタバコは見付かり、旧母親と姉の2人から同時に「イラン」攻撃を受ける事になるだろう。

 とりあえず姉には寝てもらって…待て、人の家に来て一晩中ダイニングにいるのは不審者以外の何者でもないぞ!

 シャワーを借りる?それともトイレに篭る?

 朝の5時、旧母親が起きて来る頃、俺はテーブルに伏して寝た振りをしていた。

 「こんなトコで寝て」

 と、小声で言ってからトイレに入った旧母親。

 よし、今だ!

 音を立てないように旧母親の部屋に入り、化粧台へ。

 手鏡の下にあったタバコを回収する事に成功し、ササッとダイニングに戻り勝利の麦茶を飲む。

 「あれ?起きてたんか」

 こうしてトイレから出てきた旧母親と、甥と姪が起きて来るまでの2時間、5次会を開催した。

 回収したタバコをどうしたのか、無駄にしては「自宅警備兵」の名が無くと言うもの!ちゃんと無駄にせずに済ませる事が出来た。

 昼食後の事、

 「タバコ切れた」

 と姉が立ち上がったので、

 「ジュース買って来る序に買ってくる」

 と、姉と旧母親に声をかけてみた。すると2人はそれぞれタバコ代を俺に手渡してきたのだ。なので俺はジュースだけを買い、回収していたタバコをそれぞれに手渡したのでしたとさ。

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