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自宅警備兵  作者: SIN


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42/50

19 th BREAK

 強制外泊2回目。

 1週間前に会員登録をしたばかりのネットカフェに深夜パックで行く為、12時まで外で時間を潰していた。

 バイトは4時までだったから一旦家に帰り、仮眠をとって、7時頃には家を出ていたので5時間も外にいた事になる。

 12時を5分ほど過ぎた辺りで店内に入り、案内される個室。この時点ではまだ体感温度は高い。しかし一旦冷えてしまうとどうしようもないので、紅茶を注ぎに行く序にカウンターに行って毛布を借りた。

 ショルダーバックを抱え込むようにして持ち、女性がバスタオルを巻くような感じで毛布をグルグルと体に巻いた。だが、これでは肩が冷えるので持参したブランケットをマフラー代わりに首元に巻く。後はイヤーマフラー代わりにヘッドフォンを付けて完成。

 こうして寒さ対策をしている間に隣の個室から舌打ちが聞こえること10回弱。

 毛布を巻いたりしている時にアチコチ腕が当たって五月蝿くしていたから、とかではなく、店内には至って普通の声で喋っている若者がいたからだ。

 1人分しか聞こえて来ないその会話は、ヘッドフォンをしている俺の耳にもハッキリと聞こえていたので、相当の声量だっただろう。

 「ここは俺に任せて先に行け」とか「ここにトラップを仕掛けた、気をつけろ」とか。どうやらチャットではなく、直接喋ってオンラインゲームをしているようだ。

 聞く限りこの若者が作戦の指揮を取っているらしく「お前らじゃあ弱過ぎて相手にならないから俺がここで敵を食い止める」と。

 隣の個室からは舌打ちの他にも溜息が聞こえ始めた。

 少しだけ静まり返る店内。

 店員さんの「いらっしゃいませ」と言う声が遠くで聞こえる。

 「っし、来たっ、来た!来たぁ!」

 ガタンと言う音と共に聞こえる叫び声。

 敵がトラップを仕掛けた辺りに現れたようだ。

 「行け行け行け!っし、よぉっし!」

 良い感じで作戦は進んでいるのか、若者の声は更に大きくなっていく。そして隣ではなく、少し遠くから聞こえるのは機嫌が悪そうな咳払い。

 若者はその音を気にする事もなく作戦を実行し続けているのだろう、しかしガラリと雰囲気が変わる。

 「あぁっ、あっ!ちょっ!あ……あぁ……」

 画面など全く見なくとも分かったのは、作戦の失敗だ。

 始まる前はあれだけ偉そうに指揮を取っていた若者。意気揚々と敵を食い止めると言い切っていた若者は、申し訳なさそうにかなり小さな声で、

 「ゴメン」

 と。

 若者に対する高感度が、一気に跳ね上がってしまった。


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