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自宅警備兵  作者: SIN


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LEVEL-9

 入学シーズン到来の時期、俺は厨房に立って賄い食を作れるようになっていた。

 出世と言うのだろうか?自給に少しの変化もないが。

 管理責任者が1人でも店舗内にいればバイトでも厨房で食事を作っても良いのだから、店長からの信頼度が上がった事による変化なのだと思う。

 2代目として嬉しい限りではある。それは間違いないのだが、あまり良い顔をしない人もいた。

 歳は40代位だろうか、眼鏡をかけた少々体脂肪率が高めのオッサンだ。

 この春に厨房に入ってきたオッサンで、バイト暦としては俺の方が1年程先輩である。

 店長もそのオッサンよりも俺に言う方が伝わるので「コレをしてくれ」「アレをしといてくれ」と頼みやすいのだろうが、オッサンからしてみればセット係りが厨房内の仕事までしているのは気に入らないのだろう、俺を見る時の人相が悪い。

 昼のラッシュ時が終わり、調理台の掃除を終えた店長はタバコ休憩に一旦ロッカーに戻っていく。その時オッサンは俺に話しかけてきた。

 パンッと短い音がして、音のした方を見ると、拭いたばかりのセット台の上に100円玉が2枚置かれていた。その向こう側にはオッサン。

 「木場ぁ、新聞買って来い」

 友好的ではないのは誰が聞いても明らかだし、一応俺の方が1年程先輩。ここは自分で買いに行けと一喝すれば良いのか、それとも実年齢が倍程違うのだから年上男性のお願い事として聞き入れれば良いのか。

 新聞は店を出てほんの数分の所にあるコンビニに売っている。そんな遠い場所でもないし、眠気を誤魔化す良い機会だと思えば有意義な時間の過ごし方だとも言える。

 いや、待て。冷静に考えるんだ。

 俺の方が先輩だとか、オッサンの方が年上だとか、そんな事よりも大事な事を忘れていた。

 拭いたばかりの台の上に金を置く行為もどうかと思うし、年下の先輩をパシリに使おうという斬新な発想にも驚くばかりだが、そうではない。

 「これは仕事に関係ある事ですか?」

 オッサンが俺を見る時の人相の悪さが、2割程増した。

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