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自宅警備兵  作者: SIN
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4 th BREAK

 世の中はバレンタイン一色。

 本命チョコから義理チョコまで様々な理由で渡される甘い物体。最近では友チョコとして友達全員に配ったり、自分にチョコを買う、なんて事もあるらしい。

 そんなバレンタインの時期、去年までは親父と弟にチョコを買っていた。家族チョコとでも命名しておこう。

 元はまだ子供の頃、チョコがもらえなかった弟の為に12粒入りの安いチョコ菓子を買ってやった事から始まる。そこからなんとなく毎年チョコを買ってやる事が習慣付き、今では取り返しの付かない所にまで発展する事になっている。

 今年は簡単に生チョコにでもするか。

 何時の間にか手作りになっていた。

 甘い物が大得意な弟は、クッキーを作っても、ホットケーキを作っても、生チョコだろうがなんだろうが「美味い」と言って完食する。人が美味しそうに食っているのを見るだけで満足出来るようなエコ人間である俺はその食いっぷりが好きだ。

 昨日、バイト帰りにスーパーに立ち寄り、バレンタインフェアーと大きく書かれている板チョコの前で堂々と立ち止まってしばらく考えた。

 今年は新母親がいる。俺が作るまでもないんじゃないだろうか?

 もし新母親が普通に市販チョコだったんなら、いちいち手作りする俺をどう思うだろう。

 もし新母親が手作りの場合、同じように手作りする俺をどう思う?

 どちらにしたって良い印象はもたれないだろう。無理に好かれようとは流石に思わないが、態々嫌われるような事をする事もない。

 今年からチョコをあげる事を止めると決めて今日、バレンタイン当日だ。

 「木場さん、これ良かったら食べてください」

 エプロンを着けてロッカー室を出た所でバイトの女子から突然手渡されたのは、カップチョコが5個入った6cm程の小さなクリアパックだった。明らかに手作りされたものだが、俺の後に出て来た千手観音にも同じ物を手渡していたので本命や友チョコで作った残り物なのだろう。

 「ありがとうございます」

 とロッカーに戻って上着のポケットに入れた俺に対し、千手観音はロッカー前の狭い通路の真ん中で女子の目の前で5個全てを平らげ、残ったクリアパックを女子にその場で返却した。

 あれは返却するべきものなのか?

 ピークが終わって暇な時間に突入した時、台を拭いていた千手観音がニヤニヤとしながら話しかけててきた。その顔からすると千手観音はかなりの数のチョコを貰ったのだろう。しかし、俺もかなりインパクトのある数字を持っているぞ!

 今日のを含めて良いのなら1個になるし、チョコ以外と言うなら話は変わって来るのだが、バレンタインにチョコを貰った事は本当に過去1度もない。

 「えぇ!?嘘はあきませんよ!?」

 嘘ってなんだよ。

 「毎年あげる側だったんですよ」

 「えぇ!?ホモチョコですか!?」

 なにそれ!?

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