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自宅警備兵  作者: SIN
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LEVEL-7

 風邪を引いていると思う。

 とりあえず咳が止まらないので咳止めのツボ、鎖骨の左右に挟まれた窪みをグイグイと押し続けてはいるが、出るもんは出る。他にも肘の裏にあるツボも押してみたが、出るもんは出る。

 大人しく薬を飲もうとして脳裏に浮かんだのは胃痙攣で倒れた時の事。あの時も風邪を引いていて、今、手元にあるこの風邪薬を飲んでいた。奇しくも昼食が終わった今位の時間にだ。

 熱はない、頭痛もない、関節痛もないし鼻水も出ない。タンすら喉に絡まないが乾いた咳だけが延々と止まらない。

 風邪薬ではなく咳止めを飲んだ方が良いのだろうか?しかしまた胃が可笑しな事になったらどうする?そうだな、風邪に効く薬はないって話じゃないか、基本は水分を取って暖かくして寝る、だ!

 いや待て、今日は大事を取ってバイトを休んだが、治り切るまで休んでられないし咳止めは必要だな。

 買ってくるか、ついでにマスクも買うとしよう。

 自転車でドラックストアに向かい、入店すると、店内にはかなりイチャイチャとしているカップルがいた。

 女性は格好だけを見ると水商売をしている風に見え、そんな派手な女性の隣にいる男性は灰色のジャージに草履と言う完璧なオッサンスタイル。しかも、かなり身長がでかくてガッシリしているのに猫背であるが故にオッサンにしか見えない。

 「コレ買ってぇ~」

 と、言われるがまま化粧品等を買い物籠に入れている後姿に失礼な想像が広がってくる。

 水商売をしている女性に入れあげてしまったが為に自分の生活費までを削って貢いでいる男性…。

 頭の中で繰り広げられる想像を止めようと咳止めが置いてある場所に向かい、なにが良いのだろうかと選んでいると、隣にさっきの女性が来て、風邪薬を選んで歩いて行った。その先にはさっきの灰色のジャージを着た男性。

 男性は女性に向かって歩いてきているので、その顔をしっかりと確実に、ハッキリと確認する事ができた。

 それでもオッサンと言う印象は変わらなかったのだが、俺はその男性が若者である事を知る事になった。

 アッシュ系で染めた髪の毛が、ただただ普通の白髪に見えても可笑しくない程くたびれているその男性は、中学の頃の同級生だった。

 今まで散々オッサンだと思っていたのに、実は同級生。周りから見たら俺もオッサンに見えるのだろうか?

 とりあえずジャージで外をうろつく事はこれからもする事はないだろう。姿勢も元々悪くないが猫背にならないように気をつけよう。そして、絶対に何があろうともアッシュ系で髪を染めないぞ!ブラックバンザイ!


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