もう一人の幼馴染
『志乃舞』 俺のもう一人の幼馴染
子供の頃、俺たちは三人で遊んでいた。俺と海香と志乃舞は互いに家が隣同士であり、親同士も仲が良かったため、毎日三人で遊んでいた。だが、海香は外に出ることがあまりできなかったので、家で遊ぶのが主流だったがとても楽しかった。
そんなある日、中学二年になるころ、志乃舞の突然の引越しに驚いた。
俺は三人でいられなくなることに悲しんだ。そして、俺は二人のことが好きであった。
海香は、生まれつき病弱であるが、俺のことを気遣ってくれるし、俺と志乃舞が喧嘩した時も騒ぎを治めてくれる優しい子である。
一方、志乃舞は、自由奔放な性格で、わがままであるが、なぜか憎めないほどの容姿端麗でクラスで上位クラスに入るほどのかわいい子であった。
そんな二人に恋心を抱いてしまった俺は、いつまでも三人仲良く過ごせたらいいなと思っていた。
しかし、現実にはそうはいかなかった。
引越しの前日、俺は、志乃舞の家に行った。引越しの手伝いをすることと、志乃舞と話をするために…
そして、俺と俺の両親が志乃舞の家の引越しの手伝いをしたので、予定の時間より早く終え、志乃舞と話をする時間ができたので、二人で志乃舞の部屋に行った。
「明日でお別れかぁ」
「まぁそうなるね」
志乃舞は悲しんでいるようには見えなかった。
俺はそんな様子を見て諦めかけた。
「けど、君と最後になるのは寂しくなるかなぁ」
その言葉を聞いて、俺は志乃舞に好きだということを告白した。
「俺は、志乃舞のことが好きだ」
その言葉に志乃舞ははじめ、きょとんとした顔で俺を見ていたが、次第に志乃舞は、笑い始めた。
「いきなり何を言い出すかと思ったら、そんなことかぁ」
「えっ、やっぱりまずかったか?」
「いや、君が私のことを好きであったことは昔から知っていたよ。同時に海香のことを好きだったことも」
志乃舞は、はじめから知っていたのだ。俺の初恋を
俺は、振られたかなと思っていたけど、志乃舞から思いがけない言葉が出てきた。
「私も君のことが好きだよ。だけど、恋人になることはできないなぁ」
突然の言葉に俺は嬉しくなったが、明日にはいなくなることに表情が暗くなる。
「だけど、君の願いを必ずかなえてあげる」
俺はその言葉が何を指すのかわからなかったが、それきり志乃舞は喋らなくなった。
俺の親の声が聞こえ、階段を降りようとすると、急にめまいがして倒れた。
次に目が覚めると病院のベットの上だった。
そう、昔の夢を見ていたのである。