志乃舞の情報②
昴の家へ向かって歩いたが、正直昴の家まで結構距離があって、学校から昴の家まで1時間はかかる。
それほど、昴は遠いところから毎日学校に通っている。
一回俺は中学の時昴の家に遊びに行ったことがあるが、あの道はとても怖い。
本当は通りたくないが昴に会わないことには志乃舞の居場所が分からないままだ。
だから俺は行かなければいけない。それは仕方ないことだと思って言う。
一刻も早く、昴から志乃舞の居場所を聞き出さないといけない気がする。
そして、遂に俺が怖いと思っている場所に着いた。
そこは木々が両脇に並んでいる一本道となっている。
だが、なぜか他の道に比べて、異常なほどに暗く、何かが出てきてもおかしくないほどの雰囲気を出している。
なぜかは分からないが、その道には足のない人が何人も歩いているという噂があるいわくつきの道なのだ。
「昴の奴よくこんな道を通って、学校に毎日やって来るなぁ~。俺には無理だよ。こんな道」
俺には怖いものが一つだけある。
それは幽霊だ。
非科学だとされているが俺は子供のころに一回だけ本物の幽霊を見てから、トラウマ級の衝撃を受けて、その場で失神してしまったという過去がある。
それから俺は心霊写真やお化け屋敷、心霊スポットには絶対に近づかない。
けど今回は別だと思い、俺は一歩一歩一本道を歩いて行った。
今は夕焼け空が見れるはずなのに歩いている場所はそんなのが見えない。
夜と言っても過言でもないほどの暗さを出している。
中間まで来たとき、前から誰か人みたいなものが歩いてきた。
しかし、前から歩いて来ている人物の足音が全くしない。
俺はとっさに怖くなり林の中入り、木の陰に隠れ、様子を見ることにした。
ただ、恐怖があったのか、歩いてくる人を見ることができず、目をつぶって、人が過ぎ去るのを待った。
十分ぐらい経っただろうか?
俺は目を開け、道に出た。
周りには誰もいない。
俺は安心して、昴の家に行こうとして歩き出した時、後ろから手が伸びてきて、肩を叩いてきた。
「幽霊はいない幽霊はいない幽霊はいない」
顔から冷や汗を出し、祈るかのように自分に自己暗示していると、後ろから笑い声が聞こえてきた。
「アハハハハ、お前、本当に苦手だなぁ~、からかい甲斐があるってもんよ」
俺は聞き覚えのある声だとわかった。
それは毎日聞いている声だ。
そう昴だった。
「お前、俺が幽霊が一番苦手だってこと分かっているだろ」
怒りでいっぱいだった。
昴は俺の苦手がなんであるか分かっててやっている。
そのせいか、いつも遊ぶ時は心霊写真を持ってきて、無理やり見せたり、複数人で遊園地に遊びに行った時は、行きたくもないのに強制的にお化け屋敷に連れて行かせたりと俺が怖がっている姿を見て楽しんでいる昴。
昴は超がつくほどのドSなのだ。
「いつも言っているが本当に嫌だからやめろ」
「ごめん。ごめん。君のおびえている姿がとても可愛くてついやってしまうのだよ」
「はぁ~」
俺はため息をついた。
怒りでいっぱいだった気持ちがいつの間にか無くなっている。
昴を見ているとなぜか心が和やかになってしまう。
一種の特殊能力かと思うほどの和みのオーラを出しているかのように。
「して、僕に何か用があって来たのだろ?」
「ああ、そうだよ。前にお前から聞いたことを忘れてしまったから聞きに来たんだよ」
「ふ~~ん。そうか。ここじゃあれだから商店街の方に行こうか。お使いを頼まれていくところだったから」
二人は商店街の方に向かって、歩いて行き、その間に忘れた情報を昴に聞いた。
「志乃舞の居場所?ああ、確かに前に言ったな。けど今必要なこと?志乃舞は結構遠い所にいるよ」
「どこだよそれ。志乃舞は今どこに住んでいるか教えろよ」
俺は志乃舞の居場所を聞き出すのに必死だった。
せっかく志乃舞の居場所を昴から聞いたのにそれを俺が忘れてしまったから必死になっている。
「その話は後で言うから。今から今晩の食事の材料を買うから。それが終わってから言うよ」
「そうだな。俺が忘れてしまったのが悪いからな」
「いやいや、君のいい表情をカメラで撮ったから。これで一カ月はもつよ」
「カ・メ・ラ?お前いつ、どこで撮ったんだよ」
あの時シャッター音など全く聞こえなかった。
俺は恥ずかしくなった。
「カメラはどこにある?」
「君に教えるわけにはいかないなぁ~。大事なものだから」
と言って、昴はすぐに店の中に入って行った。
俺は店の中にまで入って追いかけるわけにはいかないから外で待った。
1時間後、昴がようやく出てきた。
手にはスーパーの袋で両手が塞がっていた。
「いつもそんなに買っているのか?」
「ああ、そうだよ。僕の家はここから結構距離があるから買いだめしているのだよ。ところで君が聞きたかった事だけど」
「志乃舞の居場所のことか?教えてくれ」
俺は哀願するように道で土下座をした。
志乃舞を更生させるためなら、プライドなんていつでも捨ててやる。
「志乃舞は今、隣の県にいるらしい。どこに住んでいるかまではわからないが。悪いな。詳しく調べれば分かるが……」
「いや、そんなことないよ。今の情報だけで、ある程度想像ついたから」
「そう?それなら二度目の情報として、情報料1500円」
そうだった、昴は1回目の情報は無料にしてくれるけど、同じ情報をもう一回聞くと、情報料が発生するのを忘れていた。
俺は財布からなけなしの1500円を昴に渡した。
「俺のルールを守っていれば、金を払わずに済んだのにねぇ~」
「言うな。忘れていた俺が悪いんだ」
「じゃ、そう言うことでまた明日」
「ああ、またな」
そう言って俺たちは別れた。
そして、その夜、俺はこっそりと家を出て隣の県に行った。




