やまないあめはない
苦しむ女子高生と苦しむ雨の妖精?の短編ストーリーです。是非読んでいってください。
「死のうかな」
そう口から零れた一言は、誰に届くのでもなく雨音の中に消えていく。
ーーー
朝礼の前には机の掃除をして、宝探しをする。
昼は個室でランチ、そうすると…
「せーの!」
そんな掛け声と共に天井から汚水が降ってくる音がして、笑い声が遠のいていく。
だから私は掃除用具入れに入るようにしている。
その後は午後の授業が終わるまで屋上に続く階段で昼寝。
そして放課後に宝探しの続きをする。プール、ゴミ箱、倉庫裏、今日は早めに焼却炉の中でお宝発見。
ラッキーだ。
そんな日常に疲れが見えてきたとある晴れた雨の日、私は彼と出会った。
「俺も死にたいよ」
誰に聞かせるでもない呟きに対しての返事に、私はびっくりして目をやった。
いつの時代だって突っ込みたくなるような服に透き通るような美しい銀髪、それをひとつに纏めた簪からは雫のような水晶がゆらゆら揺れていた。
「誰ですか?いきなり私の独り言に返事してこないで」
「すまない。ただ君があまりにも羨ましそうに僕を眺めるから、ついね」
「誰が貴方なんか眺めますか、雨空を見てたんです。ていうか何時からいたんですか」
「僕も分からないけど、ずっと昔かな」
だめだ、話が噛み合ってる気がしない…早くバス来ないかな。
「君はなぜ死にたいんだい?そして何故そんなにも羨ましそうに雨空を眺めている」
彼はそう聞いてきた。
「別に、ただ生きるのに疲れただけ。
雨空を眺めてたのは…何となく。でも、雨っていいなぁって思った。産まれたら産まれた意味も進む方向も決まってて、そして何も考えず地面に落ちる。そしてまた次の人生、雨って気楽でいいなぁって」
「君はおかしなことを言うね」
彼は遠く、そして少し怒ったような目で私を見つめた。
「雨はそんな短命ではないよ、ずっと生きていくんだ。地面に落ちた後も、川になり海になりそしてまた雨になる…それを永遠と続けるんだ。君の言うように気楽ではない。産まれた意味を考え、答えが出ようとその輪廻からは抜けられない。どうだい?気が病んでくるだろう」
「別に、そもそも雨に感情なんてあるわけないじゃん」
「そうでもないさ、雨にだって感情はある。元気な時もあれば、気を病んでしまう時もある。だからこうして時たま輪廻から少し飛び出してあぞびに出るのさ」
「ふーん」(変な人…)
「そろそろ時間かな雨が上がりそうだ。話をしてくれてありがとう、楽しかったよ。ちなみに僕は雨空よりも晴空がいいかな雨は嫌いだ」
「そうですか、それじゃ」(聞いてないんだけど…)
「やまないあめはないさ…」
そう言うと彼は消えていた。
ーーー
目を覚ますとバスの中だった。
「なんだ夢か…変な夢」
そう言う私の鞄の隙間から雫のような水晶がきらりと光っていた。




