参政党・初鹿野議員「歳費自主返納宣言」を撤回したことについて
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は先の参院選挙で参政党神奈川選挙区で初当選した初鹿野氏の「公約の掌返し」した件についてと議員給与の返納や削減について個人的な意見を語っていこうと思います。
質問者:
一体、初鹿野さんはどういう流れで公約を撤回したんですか?
筆者:
初鹿野氏には、参院選公示前からかねて掲げていた「肝いりのマニフェスト」というのがあったのです。
その中で、
『【議員歳費(給与)を返納します】
幼い頃、政治家は人間のクズだと思っていた。 「政治と金の問題」いつになったら解決するのか? 私が国会議員になった暁には「国会議員歳費・旅費及び手当等に関する法律」を改正し、歳費(給与)を返納します。お金のために議員を目指すのではない証として』
という項目があったんですね。
現状、どういう思考回路でこの法案内容になっているか不明なのですが、一時的な措置で議員歳費(給料)の返納を許していた時期があったのみで、歳費返納は許されないということを変えるといった内容でした。
※現状、議員歳費を国庫に返納することは、公職選挙法が禁じる寄付行為に含まれます。逆に内閣の大臣などの報酬は返納できるようです。
ところが、公認した参政党はこの法案を率先して改正するつもりはないそうで、
『所属政党の方針を尊重して発信するべき事項であるところ、所属政党の方針を確認せずに投稿した点においては不適切であったと感じております。そのため、今回ご質問を受けた歳費返納の意向は一度取り下げたいと思います』
と、当選後に法案提出を撤回することを投稿したんですね。
質問者:
なるほど……これは「掌返し」や「公約違反」と言われても仕方ないですね。
筆者:
ちなみに、初鹿野氏は57万7千票余り獲得して参議院神奈川選挙区で4位(最後の席)で当選し、 次点の公明党の前職の佐々木氏とは5200票差ほどしかありませんでした。
「歳費返納できるように改正」することに刺激を受けて投票した有権者によって当選ラインまで押し上げられた可能性はあると思います。
質問者:
だから炎上したということですか……。
筆者:
でも、熱意があるのであれば党の方針とは関係なく初鹿野氏が主導して同法案に賛同できる人数を集めればいいだけな気もしますけどね。
「その程度の熱意」だったということなのでしょう。
質問者:
また、党議拘束がありますからね。党の方針に反せないのかもしれませんね。
筆者:
党議拘束があることで議員個人が埋没することにもなり、実は日本の政治の中で恐ろしいことの一つだと思っています。
党の数しか考え方のバリエーションが無いことを意味しますからね。
小さい党が増えているのはその分多様な考え方を反映できるので良い傾向だと思いますけどね。
そもそも、参政党は外国人移民問題などタブーに斬りこむ政党だと思っていたので、
歳費返納を出来るようにすること程度のことを主導できないことは違和感がありますけどね。
別に法改正することで歳費を返納することは義務付けされることではありませんしね。
質問者:
収入に余裕のある方が歳費を返納するのであれば問題ないですからね……。
筆者:
また、初鹿野氏そのものが選挙演説の抗議に集まった市民を「非国民」と呼んだ自身の発言を撤回しなかったり、
共産党について、
「たくさんの仲間が共産党員により殺害され、いまだに恐怖心が拭えません。」
日本共産党は公安から注視されているとはいえ、根拠も示さずにそんな発言をしたりなど
総合的に見てあまり後先を考えることなく迂闊に発言する政治家であり、それを公認したり注意しないのが参政党だということを理解しなくてはいけないと思いますね。
質問者:
筆者さんは「日本人ファースト」など参政党と比較的近い考え方のような気がするのに、結構辛辣ですよね……。
筆者:
参政党は個別政策の問題と言うより、党代表の発言が二転三転したり調べて発言していないことも多く、党のガバナンスとして安定感が足りないと思います。
衆参で20人近くの中規模政党になりつつあるのですから、もっと各人が責任を持って発言発信する必要があると思いますよ。
◇「議員給与を下げろ」は良いことではない
筆者:
さてここからは議員歳費返納とは問題が違うのですが「似たような話」として、
「議員給与を下げろ」や「議員定数を削減しろ」みたいな意見も多いと思うので、それについて話していこうと思います。
質問者:
確かに「議員報酬を平均賃金並みにしろ!」みたいな話は常にありますよね。
筆者:
これらの主張の根幹には3つ要素があると思っています。
1つは財政再建をしたい、放漫財政を是正したい人たちにとっては少しでも歳費を削減したいから。
2つ目は政治家の方たちが報酬に相応しいだけの働きをしていないと思われていること。
3つ目は日本人の気質的に「身を切る改革」みたいなワードは「国民に寄り添っている姿勢」のように感じるために有権者としては「キラーワード」のようになっていること。
これらだと思います。
質問者:
実際にどれぐらいの金額が議員報酬として支払われているんですか?
筆者:
日本の国会議員の報酬は歳費と期末手当で2200万円。
月100万円ほどの旧文通費、支給される公設秘書3人の報酬を合わせると年間約5000万円ぐらいだと思います。
衆参で713人いますので3500億円ちょっとぐらいなのかなと思います。
一般市民からしたら1人の議員に対して5000万円! 多すぎる! と言う考えは理解できます。
ただ、全体の予算は一般会計で110兆円ですからね。全体の支出の0.3%が例えゼロになったところでたかが知れていると思いますし、財政再建と言う視点から見ても効果は小さいでしょう。
質問者:
ただ、やっぱり議会中に寝てたり仕事をしていない方がいるとなると下げて欲しいという気持ちは分かります……。
筆者:
働いていないように見えるどころか、「外国人のために働いてね?」と言う「不徳議員」もいるぐらいですからね。
ただ、それは国民側からその不徳議員をピンポイントに絞って報酬を下げさせたり罷免する機能が存在しないから不満を持っているのであって、
議員全体の報酬を下げることとは論点が異なるように思います。
質問者:
どういうことでしょうか?
筆者:
議員と言うのは大変責任があり、国民の先頭に立って国民生活が良くなるための政治のことを常に考え、とても責任がある立場です(役目をはたしていないと思われる人が多い印象があるだけで)。
また、言動の全て、一挙手一投足が注目され、マナーが悪かったりすると大炎上したりします。
また、歳費は給与ではなく経費込みで支給されるものであり、例えば地元に事務所を作ってスタッフを雇うだけで簡単に飛んで行ってしまう金額です。
更に国政選挙の選挙区当選のためには2000万円かかると言われているために「高額」と言われる報酬ですら足りないのが現実だと思いますよ。
質問者:
この状況下で報酬を下げるとどうなるんでしょうか?
筆者:
これは僕の予測に過ぎませんが、
今のまま議員報酬を下げることは、より金持ちの特権階級の2世議員やタレント議員ばかりになったり
「陰で親族に我田引水をする奴ばかり」になると思います。
そうなるとただでさえ一般庶民とかけ離れた人物が議員になっているのに、よりその危険性が上がっていくと思います。
この「身を切る改革」を推進している維新の会などは「特権階級強化を推進」しているというのが僕の考えです。
皆さんも乗せられないようにしましょう。
質問者:
一見いいことのように聞こえますけど、実は一般の方の出馬がむしろできなくなり、自分たちの権力基盤を固めるためにあるって怖いですね……。
筆者:
僕は議員報酬を下げることよりも先ほども言いましたが、
「国民の側から給料を下げたり、辞めさせるシステム」を構築していく必要があると思います。
現状、選挙でしか辞めさせることが出来ず参議院であれば6年もあります。比例代表で特定枠や上位にされてしまったり、組織票が多いと不支持者が多数いても当選するのでなかなか落選も難しくなります。
また、親族に我田引水をするのも厳しく取り締まるそういったシステムづくりの方が遥かに大事になってくると思います。
質問者:
逆に「議員報酬を下げることのできる環境」ってどういう状況なんですか?
筆者:
1つ目は、リアルでの活動がゼロでも当選できるようになり活動資金が必要なくなること。
2つ目はAIによる判断で政治を決めるような状況になること。
3つ目は「選挙無し」にして籤引きか何かで議員を選ぶ制度(ロトクラシーと呼ばれているがどの国でも実現はしていない)ぐらいですかね。
質問者:
どれもハードルが高そうですね……。
筆者:
仮に実現したとしても、
籤引きだと政治に関心が無かった人の可能性も高いので、財務省などから「洗脳」されることによって一気に狂わされていきより、「官僚政治」になる可能性が非常に高いですし、
AI政治家の場合はアルゴリズムを作る人が支配者になるか、賄賂を渡すことで汚職に走るかのどちらかのような気がします。
お金のかからない選挙には難しそうなので、やはり「高報酬で庶民派がなれる可能性を上げる&国民側から罷免・減額できるようにする」と言う方向性の方が良いと思いますよ。
質問者:
ただ、罷免する選択肢を増やすやり方を既得権益の議員の方がやるとは思えないですよね……。
筆者:
まず、「議員報酬減額」が良いことだと思っている方が多いですからね。
ここを正しい価値観に持ってくることが大事なのかなと思いますね。
まぁ、「僕の正しさ」なので強制するつもりはないですが、
こうした政治・経済の発信を僕なりに発信していきますのでどうぞご覧ください。