全員好きで何が悪い!
白い光に包まれた空間。
そこは、神の試練──最後の舞台。
セイタの前に現れたのは、彼女たちの姿だった。
沙耶、真央、莉子、千紗。
そして、それを見下ろすように立つ、神の影。
「結局、誰も選べなかったのですね。
だからこの試練は、終わらない。
あなたのような者に、祝福など与えられない──」
セイタはその言葉を遮るように、前に出た。
「違う。俺は“選ばなかった”んじゃない。
“全員を選んだ”んだ」
神が目を細める。
「それはただの逃避です。
一人を選べば済むものを、全員に手を伸ばすあなたのやり方は──
誰の心も救えない」
「救えたよ」
セイタの声は、まっすぐだった。
「沙耶は、俺の弱さに気づいて、それでも傍にいようとしてくれた。
真央は、俺の未熟さを叱ってくれた。
莉子は、俺の本音を引き出してくれた。
千紗は、俺の中の“諦め”をぶち壊してくれた」
彼女たちが、順に前へ出る。
■沙耶「私は“後輩だから”って言い訳、もういらないって思えた。
セイタ先輩が本気で向き合ってくれたから」
■真央「私は“あいつの一番”にならなくても、“あいつに本気だった”って誇れるよ」
■莉子「私は“ただの後輩”なんかじゃない。“見ててくれた”って信じられた」
■千紗「私は……“誰にも選ばれない”と思ってた。
でも、セイタが“手を取ってくれた”。それだけで……生きてていいって思えたんだよ」
セイタは言う。
「誰かを選ぶっていうのは、
誰かを切り捨てるってことじゃない。
“好き”の形は全部違って、全部本物だ」
「俺は、全員を大事に思ってる。
それを諦めるような世界なら──俺が変える」
神の姿が、徐々に崩れはじめる。
「愚かで、狂っていて……けれど、奇跡のようだ。
その選択が、本当の“祝福”かどうかは──未来にしかわからぬ」
その声と共に、光が弾ける。
そして、セイタの前に残ったのは──
笑顔の彼女たち。
「セイタ先輩、ほらっ、こっち来てよ」
「何? もう泣きそうなの? まったく情けない」
「でも、そういうとこが……好き、かな」
「今日の夜ごはん、私が作るからね! みんなで食べよ?」
その声たちは、確かにそこに在る。
選ばれなかった誰かじゃない、“全員でいる幸せ”。
セイタは笑った。
「全員好きで、なにが悪い!」
──これが、俺の選択だ。




