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悪役戦姫ノア、男装皇帝に嫁入りする  作者: ゆいレギナ


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35/49

35話 あくまで寝物語①


 ◆


 なんとも情けない話である。


「代わりのメイドが教えてくれたよ……ポチを完封なきまでに倒してくれたんだって?」

「致命傷は外しましたし、すぐ動けるようになると思います。処分的にも、この決闘を『ペットの躾』と公言しましたから、これ以上の処罰を求められても跳ね除けるつもりです」


 私が部屋で軟禁されている間に、ポチが最強の魔法士と名高いエーデルガルド皇帝と決闘した。


 聞くところによると、ポチは自分の劣勢を判断するやいなや、自分の命を引き換えに、主人である私ノア=シャルルの安全を保障してほしいと皇帝に訴えたようだ。


 私の見立てでも、ポチがエーデルガルドに敵うとは思わない。だから従者として、とても忠実な働きをしたと言えるのだけど……ポチはあくまで私のペットなのだ。


 そんな忠誠心を、私がポチに求めたことは一度もない。


 皇帝とは仲良くなったつもりだったけど、また少し距離を感じてしまう。

 だから、私はエーデルガルド(・・・・・・・)にむくれてみせた。


「私を差し置いて、ポチとお喋りするなんてズルい」

「えっ?」

「私だって、ポチとお喋りしてみたいのに……」


 そもそもポチが温情を求めたということは、ポチがエーデルガルドに言葉を話したということ。相手が私ならともかく、まだ付き合いの浅いエーデルガルドに無口なポチと意思交流ができるとは思えない。


 ちなみに、ポチは私が飼いだしてから一度も話したことがない。

 今日の『コロス』という言葉が初めてだったのだ。


 私が、ポチの飼い主なのに!

 私が浴槽の中で膝を抱えると、後ろからくすくすとした笑い声が聞こえる。


「なんですかそれ。いっぱい説明して?」


 耳の後ろのこそばゆさに、私はこっそりとため息を吐く。

 そして「説明してほしいのはこちらのほうなんだけど」と切り出した。


「……なんで一緒にお風呂に入ってるの?」


 そう、私は今、お風呂の中。

 軟禁すると言いながらも、食事はちゃんとおいしいものが運ばれてきたし、夜にはこうして部屋に備え付けられた立派な風呂場での入浴も許可された。なんとも優雅な謹慎生活である。


 だけど、肝心の従者は決闘のちに気絶中。

 代わりのメイドは『血花のノアが怖い』とお風呂のお世話を拒否した。

 つまり、私の面倒を見てくれる人がいない。


 ということで、なぜか風呂場の中まで私の世話をしにきた皇帝エーデルガルドである。


 そもそも姫とはいえ、戦場を渡り歩いた女を舐めないでほしい。

 お風呂くらい、私ひとりで入れるんだが?


 そんな彼女が、後ろから手を伸ばして私を引き寄せる。


「いいじゃないですか。わたしたちは夫婦なんですから」

「結婚式は明後日だからね?」


 肩口に顎を乗せられるという甘えっぷりに『ついさっき、私のペットが彼女に伸されたばかりでは?』という疑問が浮かぶも、背中に押し当てられる柔らかい感触に、私はとりあえず自身の胸を見下ろした。揺れる水面の下にちょっこり膨らむ胸部。


 ……あれ、どっちが妻になるんだっけ?


 エーデルガルドが、ポヤポヤと世間話を続ける。


「そういえば、わたしたちが決闘中もノア姫がニーチェ皇子の面倒を見てくれていたとか?」

「あー、うん。正確に言えば決闘が終わったあとの時間なんだろうけど……皇子が絵本を気に入ったようで、新しいのを持ってきたんだけどね」

「今度はどの戦術書ですか?」


 まぁ、さすがにね。三歳児に戦時記録を読み聞かせたのは悪かったよ。

 だから彼女の嫌みは甘んじて受け入れる所存だけど……。


「新しい魔法開発に関する記録……になるのかなぁ?」

「どうして濁すんですか? 姫も魔法の心得は人並み以上にありますよね」


 思い返すだけで、私は眉間に力が入る。

 彼は、どうしてあんな本を持っていたのだろう。


「人為的に、人を悪魔にすることなんてできるの?」

「……悪魔化計画は、アニス帝国で昔から進められている研究らしいですね」

「らしい?」


 私の疑問符に、エーデルガルドがうつむき気味になる。


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