4 国王への報告
王子は今回のことを詳細に報告した。国王はこの国は滅ぶかも知れないと言った。
4 国王への報告
魔王は聖女にこう言った。
「大体のことは説明したと思う。後は実行犯と面会して貰えば帰って貰ってもいいかな。」
魔王は自信有りげにいう。私も魔物を国が操っていたとすれば重大な背信行為だし。勇者や聖女が意味がない存在で召喚を止めさせることができるならいいことだと思うがそんな納得ができる気がしない。
ましてそれを王子に説明して納得させることなど不可能だと思う。魔王のこの自信は何だ。日時は聖女の都合のいい時でいいがお互い早めがいいと思うと魔王がいう。明日応えることにした。
実行犯に会うことに抵抗があるわけではない。不正があるならただすべきだ。しかし教えられなければ知らなかったことを知らされる不快さ。まして物的証拠はなくテレパス出来る私はともかく、私の話しだけで判断する王子はどう思うか考えると気が重い。一層会うだけ会って王子には話さないのも手かも知れないと思う。
翌日、その翌日の11時にして欲しいと告げると魔王は大喜びしていた。
王城に到着した王子は国王への報告が必要なので
国王に今日の午後以降で謁見を賜りたいので調整を頼んで欲しいと側近に伝えた。側近は午後3時と返事を持ち帰った。
時間通りに謁見室に向かった。国王はすでに入室している。国王から言葉が有った。
「伝書鳩で連絡は有った。お前の口から直に話しが聞きたい。」
有ったことを漏らさず報告した。特に勇者の力も聖女の力も全く効かないことを強調した。
「第4回目の魔王と同じことが起こったか。この国も滅ぶかも知れないな。」
しばらく間があって
「討伐ご苦労。スケッチを見て第4回の時と同じ魔王であることは判っていた。あの時は勇者も聖女も殺されたことを思えば命があって幸いだ。しばらく休め。」
国王も疲れた顔だ。国家存亡の危機だ。休めないのだろう。王子は力が欲しかった。
面会の時間だ。面会室は、板を挟んで向かい合う。魔王がいるので危険はない。危険だ。魔王が
「聖女様の問に素直に応えるように。」
あからさまの疑問符だ。まあ無視しよう。
「魔王出現当初に魔物を操りましたね。誰の指示でどうやって、何をさせましたか。」
男は無言だが幾つかの思考が読み取れる。
「その金庫はどこにありますか、開け方は。」
男は思考を読み取られることに気付く。あがなおうとするが抵抗は難しい。男は大声を上げ私の声を聞こえないようにする。私は念話を使って私の声を届ける。3時間の面会で男は再起不能なほど疲労困ぱいした。面会が終了した時魔王が、
「大事な証人何だ。丁寧に扱って欲しいね。」
聖女はこれ以上不機嫌な顔はないくらいの顔で、
「彼との面会を持ちかけたのは誰よ。」
魔王が私が動くと確信出来たのだろう。
「もう何時でも帰っていいぜ。その扉の向こうはもうあんたの魔法が使える。ここにいたければ居ればいいけど。」
聖女は扉を出て転移した。
聖女は男と面会した。証拠は揃う。後は王城だ。