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とある夏の43日記  作者: 伊藤真奈
28/35

夏休み終了まで、あと八日

2023年23日。

嫌だ。学校まだ来ないでよ。本当に嫌だ。

立て続けに夢を見たんだ。教室、登校したら、クラスメートが鈍く光るナイフをぽんぽんと投げてるんだ。あれは私の中の言葉だ。あの人たちの言葉。そのうちの一つが、妙にリアルな冷たい感覚と共に、私にささった。痛さもないし、周りはそれに構わず、未だ刃物の形をした言葉を投げつけあっていた。私の存在なんてしょせん空気でしかないみたいだ。言葉が飛び交ううち、あの人たちが手に持ったナイフは、じょじょにするどさが増していった。あの人たちの腹が立ったような声自体に、私もいらだってくる。腹から言葉を抜いて、投げつけ返そうとしたとき、先生が扉をスライドして皆一斉に席に着いた。私もそれにつられるように座った。座っても、夢の中の私はまだ怒りの矛をおさめずにくちびるをかんだ。変な授業?というにはマニアックすぎる先生の知識ひろうが進む。もちろん夢の中だからで、私の学校はいたって普通の中学校だ。そのとき、夢特有である「なんの前触れもないトラウマ」がやってくる。あー、失敗した!誰かがケラケラと笑いながら、立ち上がって言葉を投げた。一緒になって、その人と仲がいい人が言葉を投げた。がたんと音を立てて立ったんだ。まじょがりはいつしかクラス全体の輪に広がっていく。

いつの間にか、責められる人は私に変わっていた。失敗した!失敗した!失敗した!失敗した!失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した……。

さけびなのかコールなのか分からないくらい、その場には一体感があった。ののしりはちょうしょうへと変わった。

夢の中の私は、気丈にも、反論を必死に口にしていた。大声にかき消されてしまったが、夢の中の私はそれに負けないように声を張り上げた。なので、教室は耳が壊れそうなくらいうるさくなった。

それで、目が覚めた。起きた時、まだ意識は夢と溶け合っていて、耳で責める声が反響していた。

書いているうち、少しだけ落ち着いた。

夢の光景は、こちょうされていたが事実に近い。いや、毎日何事もなく続いていることを考えると、それ以上に狂気じみていると言って良い。少なくとも、私の中では。

勉強は家で頑張るから、学校に行かずにすまないだろうか。

おやすみ。

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