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とある夏の43日記  作者: 伊藤真奈
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夏休み終了まで、あと四十一日

2023年7月21日。

今日は宿題をやろうとした。が、なにも手につかない。やる気が起きないし、シャーペンを持っていざ取り組もうとした瞬間、集中が蜘蛛の子を散らすように逃げていくのだ。集中力をくっつけておくやる気がない。意義もない。時間もない。というよりもったいない。つまり何もない。そんな自分に愛想をつかしてもいいだろうか。いいならこれで愛想もない。本当に何もない。それに、こんなことに夏休みが一日使われてしまったことに驚きを隠せない。

なんでこんなこともうまくいかないのかな。これくらいはうまくやれれば、生きてる価値の一つでも見つかるというのに。意識がとっ散らかっちゃって、信じられないくらい集中できない。それに今日も嫌なことばっかだった。ああ、そうだ。嫌なことがたっぷりとあった。私は実に濃厚な失敗以外起こさないらしい。朝起きてからまず、やらかし一つ目に気づいた。いつの間にか十時。これじゃあ学校始まった時に苦労してしまう。自分に呆れてものが言えない。開いた口が塞がらないまま、着替えて朝食を用意しようとした。母が用意してくれた朝食が冷え切っていたので、自分で冷蔵庫から果物をだし、棚から食パンを一枚出して食べたのだが、これがまたまずかった。残り一つの果物と、明日の妹用の朝食である食パンを食べてしまったため、母を激怒させた。いや、激怒と言っては人聞きが悪い。怒らせた。母の言い分はこうだった。「用意した朝ご飯もむだにして……。これは美香が昨日楽しみにとっておいてたのよ! あんた全然食べてなかったじゃない。なのに残り一つを食べて……。美香はお姉ちゃんは食べてないからって頑張ってたくさん食べてくれてたのに。食パンも普段食べないでしょ?」それからくどくど何か言って、「食べちゃったものは仕方ないから、買いに行ってきてくれる? 健康にもいいことだし」と。美香、というのは私の妹のことだ。私とは違い、美しく甘い香りの笑顔を振りまく名前負けしていない子だ。ああ、憎らしい。と、それは今はどうでもいい。そのせいでお使いに行かされてしまった。全て母は正しい。言う通りである。言われた直後に美香が果物を楽しみにしていた様子を思い出してしまうのだから、私は心底救えない。実際、私は食べていなかった。特別好きでもない。賞味期限に間に合うように、美香が毎日たくさん食べてくれたのも事実だ。

だから私は、しぶしぶお使いに行ったのだが、母に返事をした態度もひどかった。イラつきながら、分かったよ!と言ったのだ。これで失敗は三回目。細かくするともっとだが、キリがないからあげない。とにかく、外に出た。その時、すれ違った人に挨拶をされた。返さなかった。それが四回目の失敗。

これ以上は疲れるのでやめておく。今後ちめいてきな失敗やら恥ずかしいことやら、そんなことを思い出したりやってしまったりしたら、黒歴史としてここに記しておこうと思う。

私はこんな日記に一体何を期待してるんだ。

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