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03食堂でのトラブル

いい大人が、飯の時間に喧嘩を始めた。

海外ドラマとかでよくみる囚人同士の喧嘩みたいだ。


ことの発端は一人の背の高い細いおじさんがパンを落とした。

それをわざと踏んづけた性格の悪いぼてっ腹のおっさんが踏んだパンを拾って、パンを落とした奴の頭に乗せたらしい。


そのパンを、細長いおっさんが踏んだおっさんに投げつけ

今睨み合っているところ


宗教やってるのに知性がないってどういうことなん?


名前がわからないがパンを踏んだやつを「ふみパン」

頭にのせられたやつを「のせパン」と定義しよう。


ふみパン「おい、お前俺がだれだかわかってんのか?」


のせパン「知るか、貴様が何者かなどどうでも良い。貴様のパンをよこせ」


ふみパン「俺はなぁ、ここに来るまでにゴブリンを5体葬ってやった。貴様も後に続きたいか?」


のせパン「面白い、そこまでの実力があるなら、指南してやろう」


ふみパン「いい度胸だ、風の精霊よ!我に力を与えたまえ!ホールド!!」


俺「ブフォッwwwww」


のせパン「ほぉ、なかなかやるな」


俺「ブファッwww」


デカめのおっさんが「風の精霊よ!」とか言ったかと思えばのせパンはなんかきをつけしたままプルプルしている


あれか、信者に不思議な力を信じさせるためのフラッシュモブ的な寸劇だな


ルーク「すごいですね風魔法による拘束は、なかなかの使い手です」


ジョゼ「へぇー、あいつ結構やるんだな」


ボビー「このスープぬるい」


ふみパン「どうだ俺様の風魔法は?手も足もでまい」


のせパン「果たしてそうかな?ヌンっ!」


ふみパン「なに!?俺の風魔法を解いた!?」


のせパン「この程度の風魔法で調子に乗れるとは、おめでたい奴だ。

今度は私の番だ!エキストラバージンパーンチ!」


ジョゼ「ほう、奴の方は格闘家なのか」


ルーク「あれは格闘家の中でも、一生に一度だけ最初の一撃しか使えない技!こんなところで見れるなんて、僕は運がいい」


俺(こんなところで使うべき技なの!?)


ボビー「サラダに虫入った」


ふみパン「グハァ」


ふみパンはじわっと倒れ込んだ

のせパンのエキストラバージンパンチが、肩に当たった。


肩を押さえながら過呼吸になるおっさん

見ていてなんとも言えない気分になった


仲間風のやつに抱き抱えられて、ふみパンはおとなしく席に着いた。

のせパンは一部の連中から喝采を浴びていた。


俺は今起こったことが面白くて笑っていた。

するとふみパンのツレみたいなやつがこちらにやってきた。

同じよう太ったおっさんだ。


ふみパンのツレ「おいお前、さっきからあいつのこと笑ってたな」


俺「いい大人があんな喧嘩してたら笑うだろ」


ふみパンのツレ「いい度胸してるよな」

そういうなり、胸ぐらを掴む勢いで手を出してきたが、あいにく俺はブリーフ一丁


一度手を引っ込めたと思ったら

こづいてきた。


全然痛くない。

なんだろう、この人たちいい年してヤンチャしてた時の脳みそのまんまなのかな?なんですぐつっかかってくんだろ


ジョゼ「おい、やめろテメェ」


ふみパンツレ「関係ない奴は黙ってろ」


するとボビーがおもむろに立ち上がった

空になった皿を静かに手に取る


(やめるんだボビー、俺のために皿でこんなおっさん殴るな)

そう思う間もなく「おかわり行ってくる」と彼は言って席を離れた。


ルーク「おかわりはないですよ」


ボビーは残念そうにまた席に着いた。


ボビーのマイペースさに皆んなが目を奪われていたが、ふみパンツレも我にかえり「あんまり舐めてるとボコすぞ」と人差し指で俺の胸をツンツンしながら言ってきた。


そのツンツン仕方が微妙に優しいタッチで、なんかだいぶ気持ち悪くなった。俺は基本的に争いが嫌いなんだが、これは所詮カルトのPRの茶番で、いきなりそれにまきこまれて「わかるよね?」みたいな雰囲気にされるのはムカつく。


俺は無視して飯を食い始めた。

ふみパンツレは俺の皿を弾き飛ばした。

となりのボビーは巻き添いを食らってしまい、ボビーのパンが吹っ飛んだ。


その瞬間ボビーは机を叩きながら立ち上がった。


ボビー「なにやってるんだキミは」


静かな怒りが伝わる。ボビーは賢者とか自己紹介していたが、ゴリゴリの褐色のマッチョだ。


ふみパンツレ「てめぇがそこで飯食ってんのが悪りぃんだろ」


ボビー「ほう、謝罪する気がないんだな」


相手を引き受けてくれたボビーに感謝し、俺はまだ残っている飯を食べる。


ふみパンツレ「テメェもボコすぞ!」


ボビー「いまからこいつの恥ずかしい話暴露しまーす!!」


ふみパンツレ「!?」


ボビー「こいつの名前はゴンザ、46歳。独身。性犯罪で2回捕まってまーす。趣味は女の子の人形の着せ替え。仕事もせずに毎日そんなんやってたせいで、泣きながらの懇願も虚しく、実の両親から実家を追い出されてギルドに来ました。」


ふみパンツレ(以下ゴンザ)「おい、やめろ!」


食堂が騒つく

「キモッ」「ダサ」という声が聞こえる。


ゴンザ「なんで貴様がそんなこと知ってるんだ!!」

否定すればいいのに馬鹿なのかな


殴りかかるゴンザだが、その拳はボビーのガチガチの大胸筋に弾かれる


ボビー「暴力は智力に敵わないよ」


ゴンザ「ぐぬぬ」

ぐぬぬって声を発するやつ初めてみた。


ボビー「さて、まだまだネタはあるが、続けるかい?」


ゴンザ「くそ!覚えたろよ!」


ボビー「何か忘れているな、パンをダメにしたんだ。代償は高くつくぞ」


ゴンザ「くそぅ!」


そうしてボビーはゴンザからパンとスープを手に入れた。

スープは俺のこぼしたためかと思ったが、さっきできなかった自分のおかわり用だった。


ジョゼ「凄いな、賢者の力は」


ルーク「僕の魔法でも見通せないものを見通せるんですね」


ボビー「あれは言動からの推測だ」


俺「え!?推測!?」

こいつも演出のサクラなのか?


ボビー「あぁ、俺のユニークスキル、"洞察力極み"とエキストラスキル"妄想名人"の組み合わせで導いた推測だ。ゴンザの場合は、もともと性犯罪者が紛れているという情報があったし、"告げったー"にそれらしきアカウントをみつけていたからな」


俺「凄い、ところで告げったーって何ですか?」


ボビー「ヤマダは告げったーやってないの?」


あぁ、ここの信者だけで隔離されたSNS的なやつか

俺「やってないけどやりたい」


ボビー「なら、ギルドの掲示板に行ったらいいさ、あそこにも告げったーがある」


食後行ってみると

掲示板に「お腹すいた」とか「眠い」とか「早く帰りたい」とかいう付箋が無数に貼ってあった。アナログかよ!


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