04 白
はて?
どこだ、ここ。
バッグを開けようとしたら、
目の前が真っ白になって、
気付いたら、周り全てが真っ白な……部屋?
「こんにちは、真っ黒な人」
はい、こんにちは。
「驚かないのですね」
えーと、訳あって、突然後ろから声を掛けられることには慣れてるのです。
それじゃ、振り向きますよっと。
あらやだ、可愛い娘さん。
たぶんプリナさんと同い歳くらい。
髪もお肌も着ている服も、全身真っ白。
そして、綺麗な銀色のお目目と、薄い桜色のくちびる。
「ヲブザーヴ、です」
イシン サイリです。
サイリって呼ばれています。
……
僕はあぐら、ヲブザーヴさんは女の子座り。
ぺたんと座って、お話し合い。
ここは"絶対閉鎖空間"と呼ばれている、なんて言いますか、シェルターのような場所。
ご出身の国は長いこと戦争状態だったそうで、
ヲブザーヴさんは兵器として生み出された存在。
研究所の外に逃がすからと、生みの親の博士さんからここで待ってるよう言われて、
それっきり、だったそうです。
聞いたことの無い国だったので『Gふなずし』で調べようとしたのですが、
どうやらこの空間は外部との通信は不可、の模様。
つまり、アリシエラさんご自慢の地下工房内大規模データベース『マルチフレームジグラット』、
略称『マジ』システムには、アクセス不可。
というわけで当然、救援要請も出来ません。
通常の通信システムより強固に構築されている『ゾディアック』コールが出来なかった時点で、
外部との通信手段は無いってあきらめました。
一応、魔導スーツ『クロッカス』は正常に作動してくれております。
空気中の魔素濃度は正常範囲なので、戦闘機動しなければ空気吸入補充でスーツ稼働は充分可能。
問題は、この空間からの脱出方法が皆目分からんってことくらいですね。
ヲブザーヴさんは、まだ、未『鑑定』。
人の『鑑定』は、よほどのことがない限り、やりたく無いのです。
まあ、今は結構、よほどの事態な気がしなくもないのですが、
ヲブザーヴさんからは全く敵意を感じないので、
なおさら『鑑定』なんて出来ませんって。
「お話し、する?」
そうだね、美味しいものでも食べながら、いろいろお話ししましょうか。