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第54話 ミリアムの交渉 1/2







▷▷▷▷ミリアム◁◁◁◁






ミリアム•エル•アルメリア。

アルメリア王国の第一王女。




私は今、ティーレマンスの王城に来ています。


門番に取り次ぎお願いしてから1時間、漸く、城内に入れることになった。

他国の王女が直接訪れ、貴国を揺るがす急ぎの案件があると伝えたにも関わらずこの有様だ。



しかも、アルメリア王国の王女と伝え、身分証まで見せたと言うのに信じてもらえず、ミヒナがいなければ投獄されていたかもしれない。



お国が知れてますわね。




はぁ〜




マルティナ様はきちんと食べていらっしゃるかしら?

本来なら、隣にいて食べさせてあげたかったのですが•••。







《一方のマルティナ》 あと23時間

•みたらし団子×2串(1,000キロカロリー)

▪️体重:69キロ→70キロ(+1キロ)







門番からの知らせを受け、大臣らしき初老の人物が城門にやって来た。

その目で私が本物のアルメリア王国の王女だと分かると、城内の控室に案内された。


メイドが次々とやって来て、紅茶や三段重ねのお菓子を準備する。



私はお茶会に来た訳ではないと言ったが、メイドは取り合わず、ただ待つことしかできなかった。


そもそも、ここ最近はずっとマルティナ様の料理を食べていたため、王国で出されるお菓子など不味くて食べれるはずがないのだ。



紅茶を飲みつつ、待つこと1時間、謁見の間に案内された。








《一方のマルティナ》 あと22時間

•カツ丼大盛×2杯(2,000キロカロリー)

•みたらし団子×2串(1,000キロカロリー)

▪️体重:70キロ→73キロ(+3キロ)








謁見の間に入ると、玉座に座る国王タバーニ、その横に立つ王妃マニーシア、そしてマニーシアの横に用意された椅子に座るティエルがいた。


ティエルは体調が思わしくないのか、顔色が真っ青で、あからさまに不機嫌な顔をしている。





「突然の訪問にも関わらず、謁見の機会を与えていただき、感謝いたします」



私は玉座の前に進むと、カーテシーを行い、杓子定規な挨拶をした。




「まったくだわ!!夕食も済んでいる時間に非常識よ!!ミヒナも何故その女といるのかしら!?」


ティエルは椅子に座ったまま口調を荒げる。




「ティエルによ。王族らしからぬ発言はよすのだ」



国王のタバーニが口を開き、口調は強くないとはいえ、実の娘を窘めた。



正直、国王タバーニが口を開いたことに驚いた。

何が起こっても平静を装う自信がある私だが、今の一瞬は顔に出たかもしれない。





「それでミリアム王女。何用で参ったのか教えていただけるかな?」


「はい」




私はクイーンヒドラを追って黒い渦がティーレマンスに迫っていること、ディコス村とその他の幾つかの村が被害に遭ってることを淡々と伝えた。



私が話している間、ミヒナは黙っていた。

「黒い渦は私と共にこの世界に来た」など、絶対に口にしないよう、予めお願いしておいた。





「何、馬鹿なことを•••。ディコス村へは先日行ったばかりですわ」


「ですから、クイーンヒドラを持ち帰った後の話です」


「作り話をするために態々来たの?あなたも暇ね」


「ティエル、待つのだ」




私が話した後、堪え性のないティエルが直ぐに異議を唱えてきたが、またしても国王タバーニが間に入ってきた。




「仮にそれが本当の話だとして、ミリアム王女は態々伝えに来てくれたと理解して良いのだろうか?」


「違いますわ」




私はマルティナ様に複写させていただいた契約書を掌に表示させる。




「黒い渦を倒すことができるのは、マルティナ様だけです。ですが、この契約がある限り手を出せないのです。私の要望が分かりますね?」


「ティエルに、契約を破棄させようと言うことか」


「その通りですわ」


「冗談じゃないわよ!!」




ティエルは椅子から立ち上がると、今にも私に飛びついてきそうな剣幕で言った。




「あのデブに頼らずとも、こちらには新しい勇者がいるのよ!!誰か、クロスを今すぐ連れて来なさい!!」



部屋の隅にいた大臣が素早く反応し、扉の前にいた騎士に指示を出している。


それから直ぐに騎士2人に両脇を抱えられてクロスという男が連れて来られたのたが、あろうことか、バスローブ姿であった。





「貴様!!何だその格好は!!ここは謁見の間だぞ!!」


「しょうがねーだろ。女とやってたんだから。おっ、良い女がいるぞ」



クロスは私の方を見ると同時に、そのまま抱き着こうとして来た。

私は横目でミヒナに合図する。


ミヒナの回し蹴りがクロスの顔面にヒットすると、名ばかりの勇者は数メートル吹き飛ばされた。




私はクロスまで歩み寄ると、顔面を踏みつける。





「私に触れていいのはマルティナ様だけなんです」


「いて、や、止めろ!!」



最後にクロスの顔面を蹴り飛ばすと、私は玉座までゆっくりと歩いて戻る。




「あれが勇者?」


「なっ•••。ゆ、油断していたからですわ。クロスはあのクイーンヒドラを倒したのよ」


「話すのを忘れてたけど、クイーンヒドラを倒したのは黒い渦。獲物を横取りされたからここに向かっているのよ」


「嘘ばかり!!クロス、本当のことを教えてあげなさい」


「あたりめーだ」




クロスは小鹿のように足を震わせながら立ち上がると、騎士から剣を奪い取り、私に切り掛かってきた。


ミヒナに手出し無用と合図を出してから、クロスの蠅が止まりそうな程遅い剣を躱すと、腕を捻り上げる。


クロスはあまりの痛みで悲鳴を上げると、剣を床に落とした。




私は静かに剣を拾うと、膝を着いて痛がるクロスの首に向けた。





「ミリアム王女。このようなことになり、本当に申し訳ありませんでした。後はこちらで処理いたしますので•••」



王妃のマニーシアが私の顔を色を窺いながら言ってくる。





「勘違いしてるようね。これから、あなたは私の配下になるのですから、口の利き方には気をつけなさい、ですわ」








《一方のマルティナ》 あと21時間

•食休み中

▪️体重:73キロ→73キロ(±0キロ)





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