第46話 それぞれの想い
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マリアはいつものタイトな服ではなく、恐らく城から貸与されたであろう浴衣を着ていた。
浴衣が少し肌けていると、私をジッと蔑んだ目で見ながら、マーミラがすかさず正した。
「ミリアムよ。これを領内に撒くがよい」
マリアは一升瓶を円テーブルに置きながら言った。
「お酒をでしょうか?」
「違うのだ。中身の日本酒は風呂場で妾が全て飲んだのじゃ。今、一升瓶に入っているのは妾が浸かった湯じゃ」
「お湯!?」
「なんじゃマルティナ。お主も妾の浸かった湯が欲しいのか?なんなら、一緒に入ってもよいぞ?」
「なっ•••」
私は顔を熱くしながらも、必死に否定した。
女性と付き合ったことのない私には刺激が強すぎる話だ。
「コホン。マリア様、この湯を領内に撒けば良いのですか?」
「そうじゃ。街でも村でも街道でも、1滴垂らせば魔物は近寄らんのだ」
「まあ、なんと素晴らしい物なのでしょうか。こんな貴重なものをいただいてもよろしいのですか?」
「構わんのだ。米を卸してくれればの。ただし、雨で湯に染み込んだ妾の匂いが消えることもあるから工夫するのじゃぞ」
「はい、肝に銘じさせていただきます」
詳しく話を聞いたところ、マリアが浸かった湯は魔王の匂いが滲み出ており、並大抵の魔物は近寄らないということだった。
これがあれば人間国の魔物被害は無くなるだろうが、この湯は使い方によっては魔族をも使役できるものらしく、マリアには他の国に渡すつもりはないと断られてしまった。
今回はあくまで米を守るため、それと、ミリアムが信じるに足る人物だと判断できたかららしい。
因みに、ただ湯に浸かれば良いのではなく、マリアの汗と魔力を流し込む必要があるらしいので、風呂に入るだけでは効果が生まれないそうだ。
「マリア様。心から感謝申し上げます。魔物の被害が無くなれば、民は守られ、米作りも捗ります。民を第一に考えておられた両親もきっと喜んでくれますわ」
「両親と言えば、お主の両親は呪いの毒を盛られたのじゃったな」
「ええ。今も病に臥せております」
「呪いの毒は、術者が死ねば消えるのだ。企てた者が首都サレスイヴァンにいたのならば、やがて回復するはずだ」
「な、なんと•••」
ミリアムは膝から崩れ、顔を手で覆いながら泣き始めた。
フェルナンドがミリアムに近づくと、肩を抱いて2人で喜びを分かち合っている。
ミリアムもフェルナンドも王族とはいえ、年齢は私とあまり変わらないはずだ。
まだ幼い2人からすれば、両親が病に臥せ、どんなに辛かっただろうか。
突然、全ての国政を任され、どんなに苦労したのだろうか。
私は抱き合い、涙する2人を見て、自身の目も滲んでいることに気づいた。
それから2人が落ち着きを取り戻し、宴が終わると私もお風呂に入らせてもらい、その日は王城に泊まった。
▷▷▷▷ミリアム◁◁◁◁
ミリアム•エル•アルメリア。
アルメリア王国の第一王女。
今日は素晴らしい1日となりました。
サレスイヴァン王国のゲリットの稚拙な行動に少しだけ感謝しないといけませんね。
病に臥せる両親の朗報、サレスイヴァンの統治、民の安全。
何より、素敵なマリア様との出会い、愛するマルティナ様との親睦、本当に素晴らしい日でした。
そんな1日、終わりも最高のものにしないといけませんわ
ふふふ
マルティナ様とマリア様との宴を終え、私は今、王族専用の大浴場に1人でいる。
先刻までマルティナ様が入っていたお風呂•••
マリア様の入浴後は、多量の魔力放出によりお湯が枯れておりましたので、マルティナ様の入浴前には新たな湯を準備しました。
そう
この湯には、マルティナ様しか浸かっていないのですわ
私は高鳴る感情を抑えきれず、足先をお湯に入れ、体まで浸かった。
「ハァハァ、マルティナ様が入っておられたお湯ですわ。マルティナ様の汗がたっぷり滲みているお湯に今私の体が•••」
広い浴槽に体を全て沈め、顔も浸ける。
普段は決してしませんが、浴槽を泳いでマルティナ様の湯を堪能する。
「マルティナ様、マルティナ様」
今、あの瞬間を思い出しても鼓動が激しくなり、身体中が熱くなる。
黒いオーラを纏い、冷たい目でダーナを蔑んでいたマルティナ様、あの瞬間、自分でもよく分かりませんが、身体中がゾクゾクと震え出し、マルティナ様から目を離せなくなりました。
「そうだわ。ダーナなら、まだ私の知らないマルティナ様を知っているかもしれませんね。後で幽閉場所に行くとしましょう」
私はまだ知らない部分のマルティナ様を想像しながら、マルティナ様のお湯を堪能した。
▷▷▷▷フェルナンド◁◁◁◁
フェルナンド•エル•アルメリア。
アルメリア王国の第一王子。
私は、今日の宴の一幕を思い出していた。
マルティナ様は、以前私とお会いしたことを憶えていなかった。
それは、当然かもしれない。
マルティナ様は毎日、類まれなる力で大勢の人を助けているのだから、その中の1人である私のことを憶えていなくても不思議はない。
「マルティナ様。私は以前、あなたにお会いしてるんですよ」
「えっ!?すみません。全然憶えてなくて」
「いえいえ。あの日、私は街道に潜む盗賊を警戒して王族の格好をしていませんでしたし、助けていただいた後、マルティナ様は直ぐに去ってしまいましたから」
私はあの日、首都から離れた街に移動しており、そこを盗賊に襲われた。
盗賊は騎士達によって倒せたが、運悪く、騒ぎを察知した魔物に襲われてしまった。
そこに颯爽と現われたのがマルティナ様とアーロン様だった。
初めはマルティナ様の圧倒的なその力に目を奪われたが、次第に後ろで懸命に補佐しているアーロン様に目を奪われ始めた。
戦闘が終わると、アーロン様は希少なポーションを3本、私に渡すと、マルティナ様と共に颯爽と消えてしまった。
「マルティナ様。アーロン様は元気でしょうか?」
宴の席でマルティナ様に聞くと、顔が少し暗くなり、勇者パーティーを脱退してから1度危険な目に遭っていること、それから連絡が取れていないことを知った。
ああ
アーロン様•••
あなたは今、ご無事なのでしょうか
いつかアーロン様と再会できることを夢見て、私は眠りについた。




