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第43話 執着の捕食者




サレスイヴァン王国の国王と王妃が料理を投げ捨て、副騎士団長が『魔王の催促』が入った一升瓶を割り、料理を踏み潰す。


周りは気づいていないが、副騎士団長は料理を踏み潰しながら毒を散布している。






許さない





私の料理と酒を踏み躙り、あろうことか毒を撒くなど•••




これまで生きてきた15年間で、感じたことがない怒りが体の中を巡っている。

理性を保っていられるのが不思議なほど苛立ち、全てのものを破壊したくなる衝動に駆られる。





許さない





料理や酒は、全て他の命を代償に完成できるもの。

植物、動物、魔物、命の蓄積により、我々は生かされている。



それを踏み躙る奴は、生きてる価値がない。







《飲食物に対する激しい怒りを感知しました。前世での後悔も併せ、新たなスキル【執着の捕食者】が発動します》




《【執着の捕食者】が発動中は、ステータスが大幅に上昇し、スキル使用時の体重消費が減少します》







アナウンスと共に『リミット解除』した時のような力が身体中に漲り、私の体から黒いオーラが溢れ出す。


不思議と今起きている変化を俯瞰的に見ている自分がいる。



体が熱を帯び、自身の顔が微かに女性らしく変化していく。

瞳の色も元の青色から右目が赤色、左目が黄色のオッドアイに変わった。






《悪神様の究極の依怙贔屓により、一時的に【悪神の裁き】を解放します》






これまでに感じたことのない高揚感、冷酷さ、冷静さ、様々な感情が押し寄せてくる。



全ての解放が終了すると、私は副騎士団長の元まで一瞬で移動し、躊躇うことなく首を刎ねた。




首を刎ねた先には、ゲリットが腰を抜かしている。





【覚悟は、できているか?】



「へっ?」



ゲリットは恐怖から震え上がり、下半身を濡らした。




【食物連鎖の最下層になる、覚悟だよ】




私が剣を振り上げ、腰を抜かしているゲリットの首を刎ねようとする。





「お待ちなさい!!ゲリットちゃんから離れなさい」


「フェルナンド、ミリアム、このような無礼は許されんぞ!!」



サレスイヴァン王国の王妃であるレイテと、国王のティムが声を荒げる。





「国を挙げて抗議をさせてもらう!!宣戦布告も覚悟せよ!!」



ティムが怒りに満ちた表情でそう言い放つと、ミリアムがゆっくり歩き出し、ティムの前で立ち止まる。





「上等だよ。やれるもんならやってみろ、ですわ」



ミリアムは悪魔のような笑みを浮かべ、ティムを睨む。



「な、なんだと!!」


「ティム国王、これを見てもらえますか」



続けて、フェルナンドがダーナを引きづりながらティムの前まで来ると、契約書を空中に表示させる。



「契約締結の上、このダーナが全てはあなたの愚息が仕組んだことだと話してくれましてね」


「う、嘘だ!!」

「嘘よ。嘘でしょ、ゲリットちゃん」



ゲリットは腰を抜かし、漏らしたままの体勢で首を左右に振った。




「ぼ、僕じゃない!!僕は悪くない!!」



一心不乱に叫ぶと、ゲリットは指笛を吹いた。



その瞬間、庭園に500人近い騎士達が現れ、剣を抜くと一斉にこちらに向かってきた。




「なぜ、我が国の騎士がここに•••。一緒に来た騎士は待機させているはずだが•••」


「あなた達、ゲリットちゃんを守りなさい!!全員殺してしまって構わないわ!!」



突然の自国の騎士の出現にティムは戸惑いを見せ、レイテは顔を赤くし、鬼の形相で怒鳴った。




【隠れているのはバレバレだったが、そもそもこの警備の緩さは問題だな】


「態とさ。君がいれば問題ないだろう?我が国の騎士達には門番も含めて、待機命令をだしているよ」




フェルナンドは片目を瞑りながら、悪怯れることもなく言ってきた。





【王女も変人だが、王子も負けてないな】




私は笑みを浮かべると、『魔法付与(使用時は体重消費•中)』スキルを使い、剣に魔法を付与する。





『魔法付与(使用時は体重消費•中)』

※付与魔法:闇


▪️体重:87キロ→85キロ(▲2キロ)





ステータス画面から体重を確認すると、これまで3キロ必要だった『魔法付与』が2キロの減少に変わっていた。


【執着の捕食者】が発動中だけの効果らしいが、これは今後の戦闘で大分助かりそうだ。





「ゲリット様を守れー!!」

「相手国の騎士はいない、この好機を逃すな!!」



500人近い騎士が怒涛の勢いで襲い掛かってくる。




私は迫り来る騎士達に向かって、軽く剣を横一閃した。




剣から三日月型の闇の刃が放たれ、騎士達の上半身と下半身を瞬時に分断した。


今の一閃で半数近い騎士が見るも無惨な姿で息絶えた。





「あ、あ、悪魔だ•••」

「こんな相手に、敵うわけない•••」



騎士達は恐怖からその場で立ち尽くし、震えから鎧が擦れる金属音だけが響いている。




「ま、マニッシュ。あいつを何とかなさい」


「•••畏まりました」



レイテは声を震わせながら、騎士団長のマニッシュに命じた。

マニッシュは鞘から剣を抜き、私の前に来ると腰を落とし、独特の構えを取った。




「この剣技が通じなければ、我に勝ち目はない。覚悟せよ」



マニッシュは剣を素早く回転させると、その場に小さな嵐を巻き起こし、嵐ごと剣を一閃してきた。





ザシュッ




マニッシュの首が地面に落ちた。





【次は、誰?】





「ひぃぃぃぃぃ」

「いやーーーー」

「悪夢だ•••」



ゲリット、レイテ、ティムの瞳からは絶望が溢れている。


私は構うことなく、ゲリット、レイテ、ティム、執事、残りの騎士達を攻撃しようと剣を構えた。







次の瞬間、目の前に黒い靄が現れると、この場に1番近寄らせたくない人物達が登場した。





「マルティナよ。待ちきれず、日本酒を取りに来たのじゃ」




現れたのは、魔王国アンヘルマリアの魔王マリアと、マリアにしがみついているマーミラ、マクロス、マナツだった。






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