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17/82

第17話 貴族位

★★★★ ★★★★ お知らせ★★★★ ★★★★


今後の更新頻度の参考にしたいと思いますので、是非、感想や★マーク、どんな形でもいいので反応いただけると幸いです。



【更新頻度】

 9月16日:1話分投稿

 9月17日:1話分投稿

 9月18日:1話分投稿

 9月19日:1話分投稿


 を予定しています♪



また、更新頻度は予定となってますので、ブックマーク後に通知機能をONにして待っていていだけると嬉しいです⭐︎




ミケーレからの親書が届いた翌日、宣言通りリリーナ村にミケーレ一行がやって来た。


村の入り口は複数の馬車と、それを取り囲む私兵が約100人、私兵は剣と槍、防具も鎧を纏っており、まるで王国の騎士団のようだ。



その様子を見て、私の隣にいるミーナ、お互いの両親に村長、他の村人も不安気な表情を浮かべている。



それはそうだろう。



この私兵の様子から、どう見ても真っ当な縁談の話をしに来た訳ではなさそうだ。





村の中から様子を見ていると、柵の外に停められた馬車からミケーレと執事のような男が出てきた。


ミケーレは馬車から降りると同時に、柵の隙間からこちらを見て邪心に満ちた笑みを浮かべている。




ミケーレと執事はそのまま村に入ろうと、入り口にいた警備の男に何やら話しかけると、直ぐに私兵の1人がやって来て警備の男の鳩尾を殴った。


大方、中に入れるよう言った所、身分照会をお願いされ、それに怒ったミケーレが私兵に命じたのだろう。




「まったく躾がなっていませんね」


「これはミケーレ様、ようこそいらっしゃいました。うちの警備に不手際があったようで申し訳ありません」



ミケーレに村長が駆け寄ると、拳を握りしめながらそう言った。

心にも思ってないことを言うのだから、自然と拳を握り、悔しさを紛らわすしかないのだ。




「それで本日はどのようなご用件で•••」


「決まっているでしょう。あそこにいる娘を貰いに来たのですよ」


「光栄に思いなさい。この貴族位ランクCの

ミケーレ様直々にお迎えにあがったのですから」




ミケーレの後に、直ぐ後ろに控えていた執事が何も言わせない、凄みの効いた口調で言い放った。





貴族位ランク•••



この世界には、王族の下に貴族がおり、貴族間をランクで分けて優位性を作っている。



ランクは上からA〜Eまであり、貴族位Cとなれば複数の領地を任されているそれなりの権力を有した貴族となる。





「分かったら、直ぐに娘を差し出しなさい」


「ひ、ひとつお聞きしたいのですが、そ、それはミーナを側室に迎えていただけるということでしょうか?け、契約書は•••」



村長は貴族位Cのミケーレをまえに、体と言葉を震わせながらも、ミーナを守るために言葉を発した。



しかし



村長の言葉に答える代わりに、執事は手を上に上げた。


同時に私兵100人が鎧独特の音を立てながら村の中に入って来て、ミケーレと執事の直ぐ後ろに配置された。




無言の圧力•••



ミーナを差し出さなければ、村がどうなるか分かっているな•••



そんな感じだろう。





「あ、わ、私•••、どうしたら•••」


私の隣にいるミーナが体を激しく震わせている。



「大丈夫だよ」



私はそっとミーナな肩に手を置くと、優しく笑顔を向けた。




「き、貴様!!私の物に触れるな!!」



私がミーナの肩に触れたのを目敏く見ていたミケーレが怒気を含んだ声で叫ぶ。



やれやれ



私はミケーレに向けて、静かに歩き出す。



「マルティナ•••」

「大丈夫だから」


心配そうに声を掛けてくるミーナを、真っ直ぐな目で見つめる。






その時、昨日サングラニトの冒険者ギルドマスターのセリア送った伝鳥が帰ってきた。


伝鳥の足元には、書類も巻き付けられている。



どうやら、間に合ったみたいだな。





私は伝鳥を手の甲で受け取ると、足に巻き付けられていた書類を取る。



『貸し、ひとつ』



伝鳥の首に着けられた『声音首輪』からセリアの声が響く。

『声音首輪』は、私が首輪に無属性の魔法を付与した物で、短いメッセージを録音できるのだ。


普通は紙を巻き付けてやり取りをするのだが、私と連絡先を交わした人にはプレゼントしている。




私は書類を広げて内容を確認すると、柄にもなく悪い笑みを浮かべる。




書類を手にしたままミケーレと執事の前まで行くと、私は静かな中にも怒りを滲ませ、言葉を発した。




「お前達、図が高いな。私を誰だと思っている。早々に跪け!!」


「な、なんだと貴様!!お前こそ、私が誰か分かっておらんようだな!!」


「知っているさ、貴族位Cのミケーレだろ?」


「ぐっ、貴様我を呼びすとは、余程死にたいらしいな。立派な不敬罪だぞ!!」




ミケーレはまったく動じず、恐れを見せない私に苛立っているのか、その場で地団駄を踏む。




「貴族位Cで不敬罪とは、滑稽だな。むしろ、私に対するお前の行為こそが不敬罪だ」


「な、何だと!!おい、マルス、あいつは誰だ!?」


「いえ、私も先程から考えているのですが•••。ただ、どこかで•••」



ミケーレは隣にいる執事、マルスに聞くが、渋い表情をしている。





この書類を見せず、名乗る前に帰ってくれればいいと思っていたが、やはり、そのように事は運ばなかった。



私はため息を吐き、書類を手元で広げて見せた。




「私は、冒険者ランクS、マルティナ•プリズムだ」



そう、私が広げた書類は、セリアに頼み、ずっと保留にしていたSランク昇格の証が記されたものだった。






冒険者ランクS


それは、王族に最も近い貴族位ランクAと同等の権力を有するもの





冒険者ギルドは民間運営であるが、王国からの依頼で魔物討伐の冒険者を斡旋したり、協力関係にある。


そのため、大昔に冒険者ギルドと王国間で話し合い、国と民を守れる実力•実績を兼ね備えた者と認められた場合に冒険者ランクSを授け、貴族位A相当の権力を有すると取り決められたのだ。



冒険者ランクCが最高の世界で、Sランク誕生は歴史的瞬間といえる。





「ま、まさか!!お前は勇者パーティーのマルティナか!?」


「ま、マルティナだと?あのランクSの魔物を単独討伐したと言う!?」



執事のマルスの言葉に、この日初めてミケーレが狼狽えた顔を見せた。




「元、ですけどね。それで、貴族位Aの私にこれ以上何か話がありますか?」


「くっ•••」


「そもそも、こんなことをしていて、あなたの街は大丈夫ですか?」


「ふん、今頃勇者パーティーが来て、魔物を討伐しているはずだ•••」




ミケーレは言葉を言い放った後、何かを考え込み、元勇者パーティーの私がここにいて、街は大丈夫なのか?と、顔色を真っ青にしている。




「くそ、くそ!!あんな書類は偽物だ!!この世界にSランカーがいる訳がない!!おい!!」



ミケーレは、私兵の1人に指示を出した。



私兵は近くにいた村娘を人質に取ると、首元に剣を向け、ミケーレの所まで連れてくる。




「さあ、偽ランカーさん、その腰に収めた剣を捨ててもらおうか?」



ミケーレは人質にされ涙を流している村娘に顔を近づけ、舌舐めずりをした。





「どうしようもない、クズだな」




私は鞘から剣を抜くと、真っ二つに折った•••。





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