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16/82

第16話 ダケレスの街とリリーナの村

★★★★ ★★★★ お知らせ★★★★ ★★★★


今後の更新頻度の参考にしたいと思いますので、是非、感想や★マーク、どんな形でもいいので反応いただけると幸いです。



【更新頻度】

 9月13日:1話分投稿

 9月14日:1話分投稿

 9月15日:1話分投稿

 9月16日:1話分投稿

 9月17日:1話分投稿


 を予定しています♪



また、更新頻度は予定となってますので、ブックマーク後に通知機能をONにして待っていていだけると嬉しいです⭐︎





家の扉を開けると、そこには自分のお腹の辺りで両手を組み、仄かに顔を赤くしているミーナの姿があった。




「ミーナ?どうしたんだこんな早くから?」


「ちょっと、話せないかな•••」


「別に構わないけど、中に入るか?」


「ううん。できれば、一緒に村の中を歩きたい」




ミーナはそう言うと、俺の腕を掴んで家の外に引っ張った。

家の扉が閉まる隙間から、父さん母さんがニヤニヤしているのが見えたため、少し睨んでおいた。



ミーナは掴んでいた腕をそのまま下げて手を繋いできた。


俺のことを虐げ、冷たく接してきてたとはいえ、ミーナは誰が見ても可愛い女の子で、そんな子に手を繋がれて思わず頬が赤くなり、心臓が高鳴なる。




「ど、どうして手を繋いでるのかな?」


「昔はこうして歩いてたじゃない」


「それはそうだけど•••」


「ねー、マルティナ。婚約破棄の話は本当なの?」



ミーナは上目遣いで顔を覗き込みながら聞いてくる。

確かに私より身長が10センチ以上低いから必然的に上目遣いになるのだけれど、これはなんと言うか、照れてしまう。




「本当だよ。勇者パーティーも終わり」


「そ、そうなんだ」



ミーナはここ数年、俺には決して見せてくれなかった愛くるしい笑顔を浮かべた。

けれど、すぐにその笑顔は消え、どこか苦々しく、真剣な表情に変わった。




「私ね、マルティナが勇者パーティーに呼ばれて、お姫様と婚約ってなって、どう接していいか分からなくなっちゃったの。だから、ここ数年は思ってもない酷いことを言っちゃって、本当にごめんなさい」



ミーナは立ち止まると俺から手を離し、その場で深々と頭を下げた。

しばらくして頭を上げたミーナの目からは、涙が溢れていた。




「ミーナ•••」


「本当にごめんなさい。謝っても許されないかもしれないけど•••」


「ミーナ、もういいんだよ。気持ちは分かったから」


「•••ありがとう。これから許して貰えるように、いっぱい頑張るから」



ミーナに笑顔が戻ると、再び手を繋いできた。

手を繋ぐ行為、これから頑張ると言う言葉、少し気になった私は疑問を素直に聞いてみた。




「ミーナ、手を繋いだりして、領主のミケーレと婚約してるんじゃないのか?」


「ああ、あれね。婚約はしてないよ。領主様は正妻もいるし側室も何人もいるし、きっと、私を妾にするために言い寄ってきてるのよ」


「妾!?けど、話は婚約として来てるんだろ?」


「そうだけど、私もお父さんもお母さんもバカじゃないから、あいつの考えていることくらい分かるよ。村娘1人、騙してもどうとでもなるって思ってるんでしょ」




やはりミケーレは噂通りの男なのだろう。


確か、ミケーレの住む街ダケレスは、魔物の襲撃が予想されていた場所。


サングラニト王国の勇者パーティーでの会議でその話がでた際、ダケレスとリリーナ村は馬車で1日と近い距離にあり、個人的に気になったのでよく覚えている。



そんな危ない状況の中、自分の妾探しをしているとは、とてもここら辺一体を治める領主とは思えない。






「ねー、聞いてる?婚約の話は断ってるから大丈夫。本気なら契約書を用意してくれって、言ってあるし。それにね、私の両親はマルティナとの•••」


「た、大変だーーー!!」



ミーナの話を遮るように、ミーナの両親が村長と一緒に慌ててこちらに走って来た。



「明日、ミケーレがミーナのことを迎えにくると手紙が来た!!」





その言葉に嫌な予感がした私は、サングラニトの冒険者ギルド、ギルドマスターのセリアに伝鳥を送った。














▷▷▷▷クロエ◁◁◁◁






サングラニト王国の第一王女、クロエ•リル•サングラニト。



私はマルティナ様から命を助けていただいた

後、直ぐに王城へ戻り、父と母である国王と王妃、勇者パーティー所属で妹の第二王女ミーシア、侍女のアリナタ、サポーター役のアーロンを直ぐに大会議室に呼んだ。



100人は入れるだろう大会議室に、私を含めた6名が楕円形のテーブルに座っている。

皆が集まって直ぐ、私は本題に入った。




「マルティナ様を勇者パーティーから追放したのは本当なの?」


「あらお姉様、もうお聞きになりましたの?ええ、そうですわ。あの無能なデブは追放しました」


「な、なんてことを•••」


「おい、ミーシア、私はそんなこと聞いてないぞ」



国王のガブリエル•リル•サングラニトがテーブルから身を乗り出し、ミーシアを見た。




「大丈夫ですわ、お父様。魔物は全てこちらにいらっしゃるアーロン様が倒していたのです。あのおデブは何もしていなかったのですよ」


「な、なんと•••」

「まぁ、そんなんですの?」



国王ガブリエルの後に、王妃のプリリア•リル•サングラニトも続いた。




「そうなんですわ。だから、アーロン様がいれば問題ありません」


「アリナタ、侍女であるあなたは止めなかったの!?」


「は、はい。ミーシア様がおっしゃる通りですし、問題ないかと•••」



私の少し語気を強めた問いかけに、アリナタは一瞬肩をビクッと震えてからそう答えた。




「はぁー。契約書も交わしたの?」


「もちろんですわ」



ミーシアは得意気に契約書を空中に表示させる。







▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎


◇契約内容◇

サングラニト王国の勇者パーティー追放に関して、今後、いっさいお互いに関わらない。

※他の王族、第三者を通じた関与も認めない。



◇契約破棄条件◇


〈マルティナ•プリズム〉

サングラニト王国王妃、プリリア•リル•サングラニトとの結婚

※書面上だけではなく、夫婦としての営みが確認されて初めて条件達成


〈ミーシア•リル•サングラニト〉

私の前で土下座で謝罪し、一生、奴隷となること



◇契約違反時の罰則◇

当該者の死


▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎







契約書の内容を見て、私は絶句する。

マルティナ様の破棄条件がお母様との結婚•••。


これは、絶対に父である国王が飲めない条件ということを考慮している。


私であれば直ぐにでも結婚するのに•••。





「何じゃこれは、妻は誰にも渡さんぞ!!」

「あら、あなたってば。大丈夫。私はあなただけのものですから」

「おおー、プリリア」

「あなた•••」




バンッ




私はテーブルを強く両手で叩いた。




「マルティナ様は、お父様とお母様のような仲睦まじい夫婦が理想だと、以前話していました。これは、絶対に破棄させないための、決して勇者パーティーには戻らないと言う意志の現れですわ!!」


「おや、さっきは怒鳴ってしまったが、良い子じゃないか」

「本当ねー」




私は話にならない国王と王妃を無視し、ミーシア、アリナタ、アーロンの勇者パーティーに鋭い視線を向ける。



「自分達が何をしたか思いしりなさい。ダケレスの街とリリーナ村の中間地点にネビルアント(B)の群れが確認されています。猶予がありません。直ぐに勇者パーティーは現地に向かいなさい!!」


「り、リリーナ村•••」



それまで俯き黙っていたアーロンが、顔を上げて村の名前を呟くと、その場に立ち上がった。




「準備して、直ぐに行きます。私では倒せませんが、リリーナ村には、マルティナ様がいるかもしれませんから」



アーロンはそう言うと部屋を出ていき、ミーシアとアリナタも追いかけるように出て行った。






リリーナ村•••

そこにいるのですか、マルティナ様•••






私は2人で手を握り合っている国王と王妃を見てため息をついた。





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