第15話 幼馴染
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【更新頻度】
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9月15日:1話分投稿
9月16日:1話分投稿
9月17日:1話分投稿
を予定しています♪
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実家に着いた翌日、まだ日が昇って間もない時間に起きると、私は直ぐに『転移の宝珠』作りを開始した。
『亜空間収納』からどこにでも売っている丸い水晶を出し、右手を置く。
『魔法付与(使用時は体重消費•中)』
【転移】
転移付与を開始した瞬間、水晶玉が目も開けていられないほど眩く光、部屋中を照らす。
その光が徐々に水晶玉に吸い込まれて行くのと同時に、私の体が激しく揺れ、目眩を引き起こした。
▪️体重:90キロ→70キロ(▲20キロ)
この激しい眩暈は、体重の急激な減少によるものだ。
普通の魔法付与であれば▲3キロで済むのだが、『転移』を付与する場合は、『転移』を使う時と同等の▲20キロを消費する。
部屋に広がった光が全て水晶玉に吸い込まれると、透明から仄かに光る白色に変わった。
無事に終わったことを確認すると、私は大の字で倒れ込む。
『転移の宝珠』は体重90キロ(装備等はカウントされず、生体の体重でカウント)まで転移可能な便利アイテムだが、この作業は体への負担が大きい。
できれば、今回で最後にしたいくらいだ。
大の字で倒れ込んでから1時間ほどすると、母さんが部屋の扉をノックし、「朝ご飯よ」と言った。
まだ少し揺れる体を起こし、朝食を取るため台所へ向かった。
台所に置かれている4人掛けのテーブルには3人分の食事が置かれていて、父さんも母さんも既に席に着いていた。
「これまた、一気に痩せたな•••」
「今日は普通のイケメンさんなのね。私はぽっちゃりイケメンの方が好きだけど」
父さんも母さんも、もちろん自分の能力を知っているため、昨日までとまったく違う息子を見てもそこまで驚かない。
もっといえば、村の人も知っているため、村の中を歩いていても特に何も言われない。
私が席に着くと、みんなで朝食を始めた。
「そう言えばな、お前が勇者パーティーで稼いでお金を村に寄付してくれただろう?」
「うん」
「村の警備は強化できたし、移住者も増えたし、みんな喜んでたぞ」
「だから柵ができたり家が増えていのか」
「そうよ。本当にありがとうね。だけど•••」
母さんは食事をする手を止めると、私を真剣な目で見つめてくる。
「これからは自分の好きなことに使いなさい。村の人もそう思ってるのよ」
そうか
勇者パーティーを追放されたから、そこまで考えてくれたんだ。
「分かったよ。けど、好きな時に寄付はするよ」
サングラニト王国の勇者パーティーで貰っていた報酬は確かに多かったけど、同時に行っていた冒険者の活動も負けないくらいの収入があった。
だから、勇者パーティーの報酬は、全て故郷であるリリーナ村や、孤児院だったりに寄付していたのだ。
そんな話をしながら朝食を終え、部屋に戻ろうとした時、家の扉がノックされた。
扉を開けると、そこには幼馴染のミーナが立っていた。
摂取カロリー(お袋の味):1,000キロカロリー
▪️体重:70キロ→71キロ(+1キロ)
▷▷▷▷ミーナ◁◁◁◁
私はリリーナ村のミーナ。
私には生まれた時から同い年の幼馴染、マルティナがいた。
マルティナは優しくて、強くて、いつも私の隣で守ってくれていた。
あれは、忘れもしない5歳の時、私は両親と一緒に少し離れた森に山菜を取りに来ていたのだけど、いつ間にか両親とはぐれ、1人になっていた。
まだ昼間なのに木々によって日は遮られ、辺りは暗く、よく分からない生き物の鳴き声が響いてとても怖かった。
私は恐怖でその場から動くことも、声を出して助けを呼ぶこともできず、ただただ時間が過ぎっていった。
ガルルル
丸まって震えている私の前に、突如、デビルベア(D)が現れた。
デビルベア(D)はたまに森に出会す魔物で、熟練の冒険者でないと討伐は難しい魔物。
私は恐怖からお漏らしをし、ただただ震えていた。
デビルベア(D)は獲物と認識し、私に向かって突進をして来る。
もう、ダメだ
ここで食べられて死んじゃうんだ
私はぎゅっと強く目を閉じた。
ザシュッ
ドシッ
ドシッ
「ミーナ、大丈夫か?」
私は聞き覚えのあるその優しい声を聞いて、ゆっくりと目を開けた。
「ま、マルティナ?」
「間に合ってよかったぁー」
「どうして、マルティナがここに?」
「ミーナがいなくなったって村中が騒いでたから、千里眼使って調べてきた」
「せんりがん?」
私は千里眼が分からず、首を傾げた。
その瞬間、今まで5歳とは思えないマルティナの体に視界を遮られていて分からなかったが、デビルベア(D)が倒されてるを見た。
「マルティナが倒したの!?」
「そう。父さんの剣で魔物を倒したんだ」
「す、すごい!!あれ、けど、マルティナ少し痩せた?」
「ちょっとな。スキル使ったから」
「えっ、大丈夫なの??」
「ミーナが助けられたんだから、それでいいんだ」
マルティナはその言葉に私は顔が熱くなるのを感じて下を向いた。
するとマルティナは突然、私に向かって手から水を出して放ち、全身を濡らされた。
そして今度は、自分自身にも頭から水をかけ、今度は手から風を巻き上げて2人の衣服が一気に乾いた。
マルティナは水魔法と風魔法を連続で使ったから、両膝に手を置き、荒々しく呼吸をしている。
「だ、大丈夫!?」
「はぁ、はぁ、はぁ、だ、大丈夫•••」
「全然大丈夫じゃないじゃない。なぜこんなことしたの??」
「はぁ、はぁ、2人とも、はぁ、これで、はぁ、服が綺麗になっただろう?」
「あっ」
その時私は、漸く気づいた。
マルティナがこんなに無理して魔法を使ったのは、私が恐怖からお漏らしをしてしまった服を綺麗にするためだったのだと。
もちろんマルティナのことは元々好きだったけど、その瞬間、大好きになった。
誰にも渡したくない
結婚したい
幼いながらにそう強く思ったのを覚えている。
それなのに、マルティナは勇者パーティーに配属され、王女様と婚約してしまった•••。
それから私は、マルティナとどう接していいか分からなかった。
けれど、1年振りに会ったマルティナから、「婚約は破棄になった」と聞いた。
その日、私は一睡もできずに朝を迎え、そのままマルティナの家に向かったのだ。




