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第11話 連絡先を交換




宴会の翌日、私はモウモウ(A)討伐完了の報告をするため、イチボ村の人々とお別れをし、王都ティーレマンスの冒険者ギルドに向かっていた。



もちろん、早く戻りたいため、往路同様、身体強化の魔法を馬に使う。




『魔法全適性(使用時は体重消費•中)』

※無属性:身体強化


▪️体重:86キロ→83キロ(▲3キロ)





昨日、『すき焼き』を食べ過ぎてしまったため、今朝は胃もたれが激しく朝食を食べていない。

体重は83キロまで減っている。


普通は痩せると喜ぶのが一般的かもしれないが、私の場合は少し不安に感じてしまう。




結局、馬車での移動中も間食する気にはなれず、そのままの体重で王都まで帰ってきた。


正確には、王都の少し手前に着いたところで街道を外れ、『亜空間収納』から『家』を出し、お風呂に入る。


4人は同時に入れそうな大きな浴槽に湯を張って、ゆっくりと浸かった。


これは疲れを取る目的もあるが、もう一つ、非常に重要な目的があるのだ。





ズバリ

匂いだ





おデブは、いついかなる時も、身嗜みに気をつけなければならない。

万が一、臭いと言われたら、さすがの私も立ち直れない可能性がある。



幸い、今までデブと言われても、臭いと言われてないからきちんとお風呂に入るのは重要なのだ。




お風呂から上がると、『亜空間収納』に『家』と『馬車』を仕舞う。


この『亜空間収納』は不思議なことに、出来立ての料理はそのままに、魔物の死体も傷むことなく保存される。

そして、生き物を入れた場合は、なんと生きたまま保存され、死ぬことはない。


前に一度、盗賊を入れたことがあり、その際に発見したことだ。



とにかく、便利なスキルだよ。





馬車を仕舞った私は、15分ほど歩いて王都の検問所に到着し、いつもの通り並ばずに通過することができた。


もう、勇者パーティーじゃないけどいいのかな?



そんなことを考えつつ歩いていると、冒険者ギルドに到着し、入り口の扉を開けた。





ドッドッドッドッ





扉を開けた瞬間、もの凄い足音と同時にある人が私に抱きついて来た。




「お帰りなさい、ダーリン」


「ちょっと、ナナイロ?」



周りには大勢の冒険者がいて、こちらを見ながら何やら囁いている。



「だ、ダーリン?」


「あ、あの鬼のギルマスが?」




冒険者達の囁きを聞いたナナイロが、私から静かに離れると、クルッと踵を返した。



「てめーら、何見てやがる!!さっさと稼いできやがれーー!!」


「「「「は、はい!!」」」」



冒険者達は私の横をもの凄い勢いで走り抜け、そのままギルドの出口を抜けて行った。




「もう、また恥ずかしいところを見られちゃった」


「•••」


「それで、ダーリンはもう討伐を終えて帰ってきたの?」


「はい。討伐を証明する村長さんからの手紙もありますが、一部なら素材もありますよ」




私が素材の話をした瞬間、受付カウンターにいた受付嬢や他の従業員が寄ってきた。

どうやらモウモウ(A)の素材など見たことがないらしく、皆、興味があるらしい。


ナナイロが他の冒険者を追いやったため、今ギルド内には従業員と私しかいない。

ナナイロに許可をもらい、場所を移動することなく『亜空間収納』から出したモウモウ(A)の皮膚と角を出した。



お肉部分は出していないが、体調5メートルを超えるモウモウ(A)の皮膚と角を出したことにより、広いギルドの1階部分が覆い尽くされる。




「おい、今どっから出て来たんだ?」

「わ、分からない•••」



従業員達は素材が出て来た空間を手で触ったり、周りを歩いたりしている。

忘れていたが、この世界で『亜空間収納』を使える人は多くない。


多くないという表現を使ったが、正直、私以外で使っているのを見たことはなかった。




「だ、ダーリン、まさか、伝説の収納スキルを持っていたのね•••」


「ま、まあね」



流石のナナイロも、初めてみる光景に驚きの表情を浮かべている。


それから10分程して、ようやく亜空間収納からモウモウ(A)の素材にみんなの興味が移った。




「これが、モウモウの素材•••」

「すごい•••。相当な防御力の装備が作れそうだ」

「角は、武器かしら?」



ギルドの従業員は素材を食い入るように見つめ、早速、商売の算段をしていた。



「ダーリン、この素材、ギルドに卸してくれるの?」


「いいですよ。私はお肉だけあればいいので」


「助かるわ。きっと、すごい売り上げになるもの」



それからモウモウ(A)の素材を一度『亜空間収納』に仕舞い、ギルドの地下に移動してから再び出した。


討伐報告もこれで終了だ。



「それで、ダーリンはこれからどうするの?依頼はまだまだあるけど」


「色々あったから、いったん故郷に帰ろうかな」


「私との結婚の報告ってことでいいのかしら?」


「ち、違う!!たく、ナナイロは美人なんだからあんまり勘違いされることは言わない方がいいよ」


「び、美人•••」




ナナイロは顔と耳を赤くして下を向く。



怒鳴ったりデレたり、色々忙しいナナイロだけれど、悪い人ではないと判断してお互いの伝鳥のアドレスを交わした。



伝鳥は、仲間が遠く離れた場所にいてもお互いの位置を感知できる鳥だ。


その習性を活かし、人と人とのメッセージを届ける運搬役となっており、アドレスという伝鳥の位置情報を交換することで利用が可能になる。



「これで、いつでも•••」


「ま、まあ、何かあったら連絡してくれ」


「はい、ダーリン」




ナナイロと連絡先を交換した私は、冒険者ギルドを後にして、故郷の村、リリーナに向かった。





今後の更新頻度、話数の参考にさせていただきますので、是非、感想や★マーク、どんな形でもいいので教えて下さい。


また、今後の更新間隔は現段階で未定のため、ブックマーク後に通知機能をONにして待っていていだけると嬉しいです⭐︎

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