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第1話 最初の追放

▪️本作品について

私が投稿している作品内の世界については、全て繋がっています。


本作品も他の作品、特に以下作品と繋がりが強くなっています。



【神様より偉い悪神様の人間体験

〜付人が本棚を倒してしまい、人間マニュアルがごちゃまぜになったことを知らずに体験スタート〜】



是非、こちらを読んだ上で本作品を見ていただければ幸いです。





サングラニト王国の首都サングラニト。



その貴族街にある屋敷の一室で、私、マルティナ•プリズムは大事なことを伝えようとパーティーメンバーを集めていた。



因みに、「私」とか言ったり、名前が「マルティナ」だったりするが、私はれっきとした男だ。



ふぅー



今日の戦闘のことを思い出し、深く息を吐いた。



本当に危なかった•••。



サポーターでありながら、私と一緒に最前線でフォローしてくれていたアーロン。

今日、あと1秒でも私が防御するのが遅れていたら、アーロンを失う所だった。



アーロンはサポーター。

戦う力はない。



そろそろ、パーティーメンバーとしては潮時だ。



彼次第だが、今後は私の家で身の回りの世話係として、迎え入れたいと思っている。




ふぅー




私はもう1度深く息を吐くと、優しくアーロンを見つめた。



「アーロン、本当に申し訳ないが、今日限りでパーティーから追放としたい」



アーロンは追放と言われたにも関わらず、キラキラした瞳で私を見ていた。



「それで、もしよければだが、今後は私の•••」


「ちょっと、お待ちになって!!」

「勝手に話を進めないで下さい」



アーロンの瞳が更に輝きを増したその時、それまで黙っていた他のパーティーメンバーであるミーシアとアリナタが激しい口調で会話に入り込んできた。




ミーシア•リル•サングラニト。

この国の第二王女であり、国王の命令によりこの勇者パーティーの一員となっている。

戦闘をしているとこは見たことがない。


もう1人のアリナタは、ミーシアの侍女としてこのパーティーに帯同している。

一応、魔法使いらしいのだが、正直、使っているところは1度も見たことがない。




「ミーシア、アリナタ、何か異論があるのか?」

「大有りですわ!!」

「なぜ、最前線で活躍しているアーロン様が追放なんですか!?」



ミーシアとアリナタは、その場に立ち上がり、激しく睨んでくる。



「それは、今日の戦闘を見ていれば分かるだろう?」

「ええ、今日もアーロン様は大活躍でした」

「ええ、とてもカッコよかったです」



ミーシアとアリナタは、私には決して見せない恍惚とし表情でアーロンの両腕に絡みつく。


アーロンが心底嫌そうにしているのに気づいていないらしい。



「アーロンは最前線で私のサポーターをしていたが、敵を倒してはいない。彼には敵を倒す力はないんだ」

「まあ、人の手柄を奪うなんて最低ですね!!」

「そうです。アーロン様が全ての敵を倒していたのを私はこの目で見ていました!!」


「「えっ!?」」



ミーシアとアリナタの言葉に、私とアーロンはお互いの目を合わせ、同時に驚きの声を上げた。



私とアーロンが驚くのも無理はない。

本当に敵は全て私が倒していて、アーロンは私の直ぐ後ろで必要な物資を渡してくれていただけだ。


ただ、いつも感じていたことだが、アーロンは私にくっつくように直ぐ後ろにいる。


むしろ、くっついていたような•••。



もしかすると、普段から戦闘に参加せず、超絶イケメンであるアーロンしか見ていなかった2人には、私にくっつくように動いていたアーロンが敵を倒したと思い込んでいるのかもしれない。



う〜ん

2人にどう説明しようか悩んでいた時。





「「ですから、追放されるのはマルティナ、あなたです!!」」



「「えっ!!」」



ミーシアとアリナタのとんでもない発言に、再び私とアーロンは同時に声を上げる。




「いや、しかしそれは•••」


「見苦しいですよ。それと、パーティーから追放ということは、あなたはもう勇者じゃない。ですから、婚約も破棄させていただきます!!」


「えっ?!本当に??」


「当たり前ですわ。そもそも、お父様の言ったこととはいえ、あなたのようなデブと結婚するなどあり得ませんわ!!」



私は『婚約破棄』の言葉に、内心で飛び上がるほど嬉しかった。

こっちこそ、どうしてこんな我儘王女と結婚しなければならないんだと、毎晩悩んでいた程だ。



「分かりました。追放されます!!」



私は自分の顔がニヤニヤとならないよう、気をつけながら言った。



「これでようやくアーロン様と一緒になれますわ」

「よかったですね、ミーシア様」


「お待ち•••」



口を開こうとしたのは、ミーシアの執事でこの屋敷を管理しているマイルスだ。

マイルスの隣には、使用人のリナもいる。


私は賢いマイルスに余分なことを言われる前に、高速で移動し、マイルスの口元に人差し指を押し当てる。




「マイルスさん、王女様の言葉ですよ。何か問題でも??」

「•••」


「そうですよ、マイルス。あなたは黙っていなさい」

「•••、畏まりました」



私は肩を撫で下ろし、席まで戻った。



「では、ミーシア。追放に関する契約書を作りましょう」


「はっ??契約書などいらないでしょ!?」


「いいえ。もしもですよ、私が未練たらしくパーティーに戻してくれと言ってきたら迷惑ではありませんか??」


「確かに一理ありますね。私のこの美貌に未練たらしく縋ってくるかもしれない•••。分かりました。契約を交わしましょう」



ミーシアが同意した瞬間、再び、マイルスが何かを話そうとしたが、私は魔物ですら怯える威圧を使い、マイルスを睨んだ。


マイルスは額から汗を流し、そのまま押し黙る。



さて、契約書の作成だ。

この世界では、契約書は誰もがその場で締結できる。

しかも、例え王族であろうと、決して改ざんなどはできない。



私は目の前にデータ上の契約書を映し出すと、作成を開始した。






▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎


◇契約内容◇

サングラニト王国の勇者パーティー追放に関して、今後、いっさいお互いに関わらない。

※他の王族、第三者を通じた関与も認めない。



◇契約破棄条件◇


〈マルティナ•プリズム〉

サングラニト王国王妃、プリリア•リル•サングラニトとの結婚

※書面上だけではなく、夫婦としての営みが確認されて初めて条件達成


〈ミーシア•リル•サングラニト〉

私の前で土下座で謝罪し、一生、奴隷となること



◇契約違反時の罰則◇

当該者の死


▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎






完成した契約書をお互いで確認し、承諾の意思を示すため、空中に表示されているデータ上の契約書に掌を触れる。





《契約、完了しました》


《悪神様の管理の元、いかなる場合でもこの契約書は有効となり、無理に破棄しようとした場合は死が与えられます》






悪神様、と聞くと、なぜか幼女を思い出すんだけど、なぜかな?



そんなこと考えていると、リーシアが変態を見るような蔑んだ目で私を見てきた。



「それにしても、破棄条件がお母様との結婚だなんて、本当に気持ち悪いわね」


「勇者パーティーには戻りたくないからね。決して実現しない条件にしただけだよ」




そう。

この国の国王と王妃は深く愛し合っている。


謁見にいく度、いつもイチャイチャしているほど仲が良いのだ。



だからこそ、国王は王妃との結婚を許すくらいなら、国が滅ぶのを選ぶだろう。




私は笑みを浮かべながら、「今までありがとうございました」と言って、屋敷を後にした。




▪️本作に登場する人物の新たな物語を作りました。



《新作》

歳を取らない姉妹

〜追放・魔物、色々あるけど、寿命スキルで乗り切ります〜



是非、ご覧いただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 少し気になったのですが、作中の点記号に・(中黒)ではなく•(ビュレット)を使用しているのは作者さんのこだわりでしょうか。 スマホでは違和感ありませんが、PCではビュレットは拡大され●の…
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