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第四話 悪役令嬢?

時は変わり長谷たちが召喚される七日前、

鳥のさえずりに思わず一緒に歌いたくなるようなすがすがしい朝に、いかにもお嬢様といった雰囲気の金髪ドリルの少女と、そのような雰囲気と対照的に目の下に隈を携えた少女が一緒に歩いていた。


「……つらい」


「何か言いましたこと?」


「いえ……何も」


私はデイナ、このような見た目をしてはいるが伯爵令嬢である。隣にいらっしゃるのは、

ユーフェリア・ゴールデンドーン様。金髪ドリルの見た目通りの公爵令嬢で私はよくこの方と一緒にいるので、周りからは取り巻きのような扱いになっている。

昨日……いやここ最近あることが原因で全く眠ることができていない。きっと今日も今日とてあることに首を突っ込まなければならなくなるのだろう。通学中くらいは何も起きないことを願いたい。今向かっているのはクルサイト王立学園。この学園は温水プールに巨大なグラウンド、様々な分野の研究棟などなど王国随一の学園である。ここは全寮制で学園の土地が広いため学園までは少し歩くことになる。今はその道中というわけで、私たちの他にも学園の制服に身を包んだ生徒がちらほらといる。


「ところであなた、大丈夫ですの?」


「ふぇ? あっ、大丈夫です……多分」


「大丈夫ではなさそうですわ。目の下の隈すごいですわよ。そのままでは倒れますわ。あなた今日は自分の部屋に帰って休みなさいな」


「いえ、大丈夫です。ええ本当に。」


この人は見た目はまさに悪役令嬢にふさわしく、金髪ドリルヘアーに加えて、男子もびっくりな高身長、女子は誰もが嫉妬する均整のとれた体にきれいな翡翠の瞳の切れ長の目。初見の人はこの見た目から傲慢に人をことあるごとに見下したり、使用人にひどく当たったりといったイメージがあるようだが全くそのようなことはしていない。確かにたまに口調は強いが人を思いやることができる優しい性格である。



「ところでユーフェリア様、今日提出の課題終わりましたか?」


「もちろんですわ。基本でしてよ。」


このように二人で世間話に興じながら歩いていた。


このまま何も起きないといいな、などと甘い考えをしたこともありました。


「それで先生が……! アルベルト様たちですわ!あっ!またあの女と通学してますわよ!注意しなければ!」


そう言って小走りで向かっていってしまう。ちなみにアルベルト様というのはこの国の王太子である。赤い髪に道行く人誰もが振り返る整ったお顔、まさに王子様といった様子である。


「あっ!ちょっと待ってください!」


「アルベルト様!前々からいって降りましたでしょう!その女と仲良くするのはよくないと!」


そういうユーフェリア様が言うと王太子はうんざりした様子で振り返って言った。


「……前も言ったであろう。おまえとはただの親の決めた婚約者という関係だ。学園では必要以上に話しかけるなと。」


「それでは他の方に示しがつきませんわ!」


「そうですよユーフェリア様。今時親の決めた結婚なんてはやりませんよ。」


そう青髪にモノクルをかけたクリフ・ブルーノートが言った。この男は現宰相の孫で頭がよい。いつもユーフェリア様や王太子たちを押さえて学年一位となっている。この人も王太子とは違うタイプで顔がいい。


「そうそう!今時もう古いよね~ やっぱり今は恋愛結婚だよねえ」


こちらは桃色の髪に女の子に間違われそうな低身長に童顔のチャド・ピンキーベアーが言った。

彼は伯爵家の四男で正妻の子ではなく妾腹であり、いじめられていたが王太子に助けられたらしく、よく王太子たちと一緒にいる。というかほぼいつもいる。ちなみにこちらも前の二人と違うタイプで顔がいい。


「そうだ!おまえも女なら潔く負けを認めたらどうだ!」


黄色の短髪ででかい筋肉の塊みたいなのが言った。彼はクリフォード・イエロシュタイン。伯爵家の長男で現第一騎士団の団長の息子であり、脳筋、見てわかるとおり筋肉馬鹿で単細胞である。ちなみにこちらも顔が(ry




「勝ち負けの話はしてないが?クリフォード。」


彼はジュード・ハルグリン侯爵家の三男で緑の長髪に眼鏡をかけている。侯爵家は腕のいい魔術氏の名門で三男は上の兄たちに勝るほどの稀代の魔術師らしい。こちらも顔(ry


この方たちは全員いいところのお坊ちゃんで顔がいいので女子からの人気が驚くほどある。

特にクリフォードに関してはその細かいところは気にしない豪快な性格から男子の人気もある。



「あ?そうだったか?」


「ふぇええ。み、皆さん喧嘩はやめてください~」


こいつこそ今回の原因、エリー・ミラステラスである。茶髪に茶色い瞳に中背中肉まさに普通。なぜ殿下たちと仲良くしているのかは実に謎である。こいつは転校生で最近この学校に入ってきた。


「ははは。優しいなあエリーは。我々は喧嘩などしていないぞ。それよりこの前の件、どうだ?」


「あうう。も、もう少し時間をいただけると……」


「何だ。まだ決まらないのか。私たちはもう準備できているというのに。」


王太子殿下はおもむろにエリーゼの頬に手を添えて顔を殿下の方に向けさせてそういった。


心なしかあの二人の周りにバラの花が咲いているような感じがする。何これ。


「顔が近いですわ!婚約者でもない女性にそのようなことをするのはおやめくださいまし!」




そうこのやりとりこそいま私の胃を苦しめる原因である。まさかこんなことになるなんて……

事の発端は、ある日転校生がこの学園にやってきたことである。この学園が転校生を受け入れる事は異例のことで大騒ぎになった。それに加えて私たちのクラスに転校するってわかった日にはクラスはその話で持ちきりだった。肝心の転校生はもう一度言うが茶髪に茶色い瞳に中背中肉、まさに町娘感がひどかったが。どうしてかはわからないが王太子とは面識があったようで王太子の取り巻きたちとともに学校を案内するうちに仲良くなって言った様だった。初めのうちはユーフェリア様も特に何も言わなかったが最近は以前と比べてかなり距離が近くなっており変な噂がたつ前にやめさせようとユーフェリア様が動いたが何を言ってもその関係は変わることはなかった。寧ろ注意するたびにとても目立ってしまい色々な噂が立ってしまうのである。いい意味でも悪い意味でも目立つメンツだ。ユーフェリア様が転校生をいじめているだの、殿下はユーフェリア様と婚約破棄をされてエリーと結婚するだの……もしこの噂が公爵様や王様の耳にでも入ったら……いやもう入っているのかもしれない。入った上で我々の行動をみて評価しようとしているのかもしれない。そのようなことを考えると胃が痛くなって夜も眠れなくなってしまう。ほら今もそこらでひそひそと生徒たちがこちらにチラチラ視線を向けている。


「こら!あなたたち!見世物ではありませんよ!」


そう注意すると野次馬たちはそそくさと学校のほうへ向かっていった。

私はこうして周りに注意することしかできない。なぜなら爵位および社会的地位が違いすぎて仲裁にはいるのは無礼に当たってしまう。これから何も起きないといいけど……



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