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プロローグ


 とある大国の会議室、そこでいま国の命運を左右する大事な決議が決められようとしていた。

「それでは時間となりましたので、クルサイト王国憲法にのっとり、多数決でこの議案の沙汰を決めさせていただきます。反対の者は挙手を。」


「では、賛成の者。」


「賛成過半数によりこの議案の行使を決定いたします。以上。解散。」


そうしてまばらに席を立ち会議室からだていく人たちの中で、若い二人の貴族の男二人が今回の議案について話し合っていた。


「決まってしまったな、勇者召喚。」


「ああ、全くだ。このことが吉と出るか凶と出るか、見物なこった。」

と一人の若い貴族の男はため息をつきながら言う。


「何だよ他人事だな。そんなんだから嫁さんに愛想尽かされるんだぞ。」


「それは関係ないだろ。ただ俺はただこれからのことをかんがえてだな」


「まぁ、考えたところで決まっちまったからなぁ。どうするも何もなるようにしかなるまいに。」


「……それもそうだな。」


「全く。勇者召喚には金がかかるというのに、しかも最後の勇者召喚は250年前だろ?う

まくいくもんかね。」


「そうだなぁ。当時の資料は残っているから、できないことはないが君も言った通り、勇者を呼ぶために使う素材が馬鹿にならない位かかるからなぁ。」


「素材をとってくるのはそうするんだ? 冒険者を雇うのか?それとも騎士団か?」


「まぁ騎士団じゃないか? 国の事業扱いだろうしな。」


「そうか……まあうまくいくといいな。」


「やっぱ他人事だな君は。」


こうしてこの国では勇者召喚の準備がすす占められていった。このことを当事者たちは知る由もない。











7月23日、火曜日、天気は晴れ、俺こと長谷泉希は今日は最高に気分がよかった。なぜなら今日は期末試験最終日、テストが終わるのは午前中、しかも今日は試験最終日なので明日の試験勉強をする必要はなく、たまったアニメや読みたかったラノベを見ることができる。いまはまっているのは、異世界に転移した女の子が棍棒で無双する物語である。ちなみにその趣味を語るような友達はいない。ぼっちは最強、これ日本書紀にも書かれてるから。


「午前中に学校が終わるっ! こんなにすばらしいことはない!」


そんな考えにふけっていた結果自分に近づく一人の人物に気づくことができず、不意を食らって驚いてしまった。


「やぁ、おはよう泉希くん。今日もいい天気だね。」


「ふおっ、お、おはよう。」

変な声出た。


「今日は勉強してきたかい?僕は勉強はしてきたけどちょっと自信がないよ。」


「そ、そうかい。俺はまぁぼちぼちってとこかなぁ。ははは……」


「…………」


「…………」


気まずい空気が流れる。俺はコミュ力がないって言うのに!コミュ障をいじめないでいただきたい。

こいつは福井達也、さっきは自信がないとか言っておきながら試験ではいつも学年10番いないをとってくるようなやつだ、その上特に部活もやっていないのに運動神経がよく、おまけに垂れ目の優しげな風貌で背も高く、顔がいい。ここまで聞けばクラスの人気者だとみんなは思うだろう、しかし現実はそうではない。俺のような陰キャに話しかけている時点でお察しである。いや、実際人気者似なるはずだったのであろう。あの女さえいなければ……


「ねぇ、私のたっくんとなにしてるの?」


「「!!!!!!!!!!」」


突然後ろから威圧感たっぷりの声が響いた福井は焦って手をわたわたさせながら言った。

「いや、麗葉、ただ世間話をしていただけだよ ねぇ泉希」


「そうそうそう!世間話世間話!世間話って楽しいよね!俺っちわくわくしてしまうっち!」

あせって変な話し方になってしまったじゃないか! 責任とれ責任!


「そう、じゃあたっくんいくわよ。こんなのにかまう必要はないわ。」



そう言いながら紫月は福井の手を取って学校まで歩いて行く。話しかけたあの俺じゃないのに……


そう、この女こそ先ほど説明したやつである、名前は紫月麗葉で福井の幼なじみ、濡れ羽色の腰まで投げれるつややかな髪に切れ長の目、身長は女の子似しては高く、すらっとしたモデル体型である。入学したての頃はもうすごかった。告白するやつが後を絶たなかったが、常に福井にひっついて回り、福井に話しかけた女子にはにらみ、福井に告白したやつは、一週間以内には紫月の顔をみては顔を青ざめてそそくさとどこかに行ってしまう。そんなことが続いたためそのうちに紫月に告白するやつはいなくなった。なので自動的に福井は友達を作ることができない。しかし福井は友達がほしいようで時折紫月の目を盗んではいろんな人に話しかけているが、話しかけられた人はもれなく麗葉の威圧がハッピーなセットでついてくるためぶっちゃけ迷惑である。福井はもう一人幼なじみがいるがその説明はまた別の機会にしよう。

 

そんなことを考えているうちに 福井は紫月に手をとられて先に学校に無かって言ってしまっていた。


「俺も学校行かないと、遅刻はごめんだ。」







チャイムがなって、試験終了を告げる。


「ふぃー、やっと終わった。」


後はホームルームをして帰るだけとなったところに、先生が俺を呼び止めてきた。


「おう長谷おまえ確か先生お手伝い係だっただろ、試験終わりで悪いけどちょっと手伝ってくれや。」


「うえぇ、俺ひとりすか?」


「いや、この係二人いただろ、だれっだたかな」

「あ 先生僕です」


「ああ福井だったか、じゃあ頼むわ」


「いや、おまえかよ」


「僕じゃいやだったかい?」

少し悲しそうな顔をしてこちらを見る。

そんな捨てられた猫みたいな顔するなって、なんか罪悪感あるじゃないか


「いやっていうか何というか……」


君の幼なじみがこわいっていえないしなぁ



エアコンの聞いた教室の中、俺は今福井と2人で夏休み明けの遠足のためのしおりをホッチキス止めしている。


「そうしてこんなことに……」


「何か言ったかい?」


「いや何も」



1年の時はこの係何もしなかったのになぁ

担任の先生が替われば係のありようも変わるよなぁ


そんなことを思いながら、無言で2人でパチパチとホチキスの音を響かせていると、


「ここにいたわね!!」


見るとそこには突然静かな教室のドアを騒がしく開けてきた美少女が一人、名前は堂野前琴音こいつも福井の幼なじみで、

髪をポニーテールにまとめている。身長は低く万人に愛されるような性格をしている。剣道部の部長も務めており、今も背中に竹刀袋を背負っている。この堂野前と紫月と福井は幼稚園の頃から一緒らしいその猫目でこちらを睨めつけている。その後ろには紫月も続いている。そしてこいつもこちらを親の敵のようにこちらを見ている。俺が何をしたって言うんだ。

堂野前が俺を睨めつけながら言う。


「なんで達也がこんなことやってるのよ!まさか……あなた無理矢理やらせてるんじゃないでしょうね!」


「いやこれは係で「言い訳はききたくないわ!」」


「えぇ(困惑)」


やだーなによこの子!全然人の話聞かないじゃないの!


「ほら達也も何律儀にやってんのよ!帰るわよ!」


堂野前は福井の手を引っ張って連れて行こうとする。


「ちょ、ちょっと待ってくれ!そいつに抜けられたら困る!あと何部作らなきゃいけないと思っているんだ!」


「そんなの知らないわよ!あなたどうせ家に帰ってアニメ見るだけでしょ!」


「なんでわかるんだよ!」


「いっつも教室でニヤニヤしながらなんかえっちなやつ見てるじゃない!」


「えっちなやつじゃねえ!あれはいいものだ!」


「なにいってんのよ!ほら達也もなんか言ってやんなさいよ!」


「いやあ僕もあれは今まで読んだやつの中でも面白いやつ……」

福井は堂野前から気まずそうに目をそらしながら小さな声で言った。

それを聞いた堂野前は目をむいて


「あなた!達也になに吹き込んだのよ!」


「なにもしてねぇよ!」

そう言いながら堂野前がずんずんと前に進んでくる。

自分も立とうとしたその瞬間、足下にまばゆく輝く魔方陣が浮かび上がった。


「な、なんだこれ!」

周りを見渡すと他の三人の足下にも魔方陣が浮かんでいた。


「な、何よこれ!」


「どうなっているんだ!」


「たっくん落ち着いて!」

何かする間もなく次第に光は強さを増していき、教室は光に包まれ、意識も落ちていった……












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