999年前の魔王伝説
『最強の皇帝に叛逆したら懲役666年をくらった俺、追放先の精霊界で真の最強となって舞い戻る』
第2巻スタートです!
プロローグ 999年の封印
その男は、魔法が使えなかった。
使わなかったのではない。
使えなかったのである。
だからこそ、人々は、男をまっとうな歴史に載せるわけにはいかなかった。
魔法文明が築き上げた帝国の歴史には、魔法士の活躍のみが描かれなければならないのだから。
ゆえに――
『その男は、どの魔法士よりも強かった。だが、その男は、魔法を使えなかった』
――などという不都合な事実を残すことなど、できなかった。
現に、たとえば、歴史書にはこう書かれている。
当時、2人の偉大な『魔法士』が、権力を巡って『魔法大戦』を勃発させた、と。
魔法士ではない男のことを、魔法士として記していたのだ。
魔法が使えないことを、隠しながら。
そう。
何としても、男が魔法を使えないことは、隠さなければならなかった。
ゆえに、男が『魔法大戦』で敗れて『次元の狭間』へと封印される際、わざわざ『男の魔法を封じた』旨の記述を入れていた。
これで、魔法が使えないことへの理由付けができるからと。
封印の効果は、999年。
999年後に、封印の効果が薄れたとき、ふたたび魔法文明を駆逐するであろう。
男は、魔法を使えない。
ゆえに、男は決して『魔法士』とは呼ばれなかった。
だが、男には魔法に匹敵する――あるいは魔法をも凌駕するほどの力があった。
それは。
『魔』を統べる力――
『魔』を操る力――
そして。
『魔』を滅ぼす力――
ゆえに人は、男をこう呼んだ。
『魔王』――
『魔王ゼグドゥ』と、呼んだのだ。
2巻第2話の投稿は、本日(6/10)18:30を予定しています。




