第4話
悠人って凄いですよね、学校初日で友達作っちゃうなんて。僕はできない(少なくとも初日は)、そんなにコミュニケーション能力高くないので。
「それにしてもお前、クラスに入ってきたときもその後も、ずっと中川さんと話していたけど彼女か?」
と、皆の疑問を代弁したようなことを聞いてきた。
「いや、彼女じゃない。最近仲良くなって住んでいるところが近いから、一緒に来ただけだ」
嘘は言ってない。普通にとらえなければ。
「そろそろホームルームの時間なので自分の席に座ってくださーい」
新井先生がそう言うと、騒がしかった生徒達が一斉に自分の席に座った。
「明日から授業が始まるので今日はしっかり寝てくださいね。それでは今日は終わりです」
今日はもう帰っていいらしいので、帰ろうと席を立ったとき、翔が話しかけてきた。
「なぁ、悠人。LINE交換しようぜ」
「おー、ちょっと待って」
俺はスマホを取り出すためにポケットに手を入れたが、
「あれ? スマホがない」
「おいおい、スマホ失くすのってやばくね。学校に持ってきたのかよ?」
「多分持ってきたと思うんだけど……」
ポケットの中や机の中を探したが……ない。
「どうしたんですか? 悠人くん」
もう一度机の中を探していると、凉が振り返りながらたずねてきた。
「スマホをなくした」
「たしか家から出るときに、リュックの内ポケットに入れていませんでしたか?」
確かに入れたかもしれない、そう思って探してみると、
「あっ、あった。ありがとう凉」
「いえ、あって良かったです。そろそろ帰りませんか?」
「ごめん、翔とLINEを交換するまでちょっと待ってくれ」
「いいですよ」
そんな会話を交わして翔の方に振り替えると、呆れた顔をしていた。
「な、なんだよ」
「いや、お前さっき彼女じゃないって言ったけど、まさか彼女じゃなくて妻の方だとは思わなくて」
どんな勘違いだ。さすがにこれ以上誤解を増やすのは不味い。
「いや、妻でもないから。そもそも結婚できないじゃん、年齢的に。それに俺はいいかもしれないけど、凉には失礼だからな」
「なぁ?」と、言いながら凉を見ると頬を赤に染めていた。
「わ、私はその……」
赤い頬を隠すためなのか、凉は下を向いてしまった。
「お前も早くスマホ出せ。LINE交換しようって言ったのお前だろ」
翔は「へいへい」と、いいながらスマホを出した。
LINEの交換は、この前凉としたばかりなので覚えている。交換し終えると早速翔からLINEが来た。
『さっきの話後で詳しく教えろよ』
ニヤニヤしたスタンプ。
思わず翔を睨むと、ニヤニヤ笑って返された。
「凉、LINEの交換終わったから帰ろう」
「は、はい」
「じゃあな悠人。さっきの話楽しみにしてるからなー」
「楽しみにしなくていいわ、そもそも話さん!」
そう言いながら俺は教室を出ていった。
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ちなみにこの後、翔からLINEで質問攻めにされた悠人ですが、全部無視しました。
ではまた~。