第3話
「え?」
やめてその首コテンってするの。かわいすぎる。
「他意はなくて、壊れたお札の代えが見つけるまで俺の家にいないかってこと。これから他の話をするからそのあとから考えてくれて大丈夫」
「分かりました」
そういって凉は姿勢を正し、真面目な顔になった。
「質問なんですが、さっき言っていた潜在能力ってどんな力なんですか?」
「潜在能力、通称妖力は妖魔と戦う力なんだ」
「妖魔と戦う力?」
「そう。妖魔は妖気を求めて人を襲っている」
「え? でもそんなこと、聞いたことがないですよ?」
「そう、恐らく聞いたことがある人はごく一部だろう。普通は枯渇ギリギリまでしか吸わないから。でも妖気が大きい人は別だ。妖気の大きい人は、妖力を使って自分のことを殺してくる。だから、妖気の大きい人は身体から妖気を根こそぎ吸いとられる」
そしてさらに、
「妖気が体の中から無くなると、吸いとられた人は死んでしまうんだ。」
「し、死んじゃうんですか」
「そう、これはどうしようもない」
驚くのも当たり前だ。死ぬかもしれないんだから。
「ここまででなんか質問はある?」
「妖魔は何故妖気をそんなに求めるんですか?」
「ただの己の強化だよ」
「己の強化? 何でそんなことを?」
「妖魔は妖魔同士で殺し合いをする。そのときにより大きい妖気を持っている方が強い。そして、殺し合いに勝った方が相手の妖気をまるごともらえる。そうやってどんどん強くなっていくんだ。これも結局は妖気のため。基本的には人を襲うよりも、妖魔と戦った方がコスパはいいから。」
「そこまで来るとただの……」
「そう、共食いだよ。生き残るためしょうがなくなのか、それとも積極的になのかはわからない。でもやつらは、人から妖気を吸うか妖魔を倒すしか妖気を増やす方法がない」
まあ、どっちにしても妖魔は奪うことでしか妖気を増やせない。まさに弱肉強食の世界だ。
「他にはある?」
「妖魔は妖気が小さい人を妖気が枯渇するまで吸わないんですか?」
「枯渇するまで吸うとその人は死んでしまう。そして、死んでしまったら後世に産まれる人たちの妖気を吸えなくなる。だからギリギリまでしか吸わない。そんなやつらなんだ。でもさっき言ったように妖気の大きいは根こそぎ吸い取る。そして……」
「そして?」
「この街には妖気が大きい人がすごく多いんだ」
そう、この街は他の街よりもはるかに妖気の大きい人たちが多い。
「昔この街ですごく強い妖魔二体が戦い、相討ちになった。普通、人間や妖魔は死ぬと残った妖気は大地に吸収される、でもその二体の妖魔は、妖気が大きすぎて大地が吸収できずに大気中に逃げてしまった。そして、そのときに残った妖気がここに住んでいる人たちに還元されて、妖気の大きい人たちが沢山生まれてしまったんだ」
読んでくれてありがとうございます。
あと一時間後に更新します。
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