第2話
説明回なので会話文が多目です。(地の文を書くの苦手なんて、口が裂けてでも言えねえ…)
あるカフェの窓際に男女の学生が座っていた。そのうちの男子生徒、中洲悠人はその対面に座る女子生徒、中川凉を見ていた。
少し茶色のショートボブ、胸は小さくもなく大きくもない程よい大きさで言葉遣いもよく、ちゃんとお礼もする。たくさん友達がいそうな、クラスではそこそこ目立ちそうな立ち位置の子。と、いうのが悠人の印象だった。
「えっと、私の名前は中川凉です。今年からこの近くの大波高校に通うことになった高校一年生です」
「俺は中洲悠人。中川さんと同じ大波高校に通います」
会ったばかりなので丁寧な話し方にしたのだが(一人称は治らなかった)、やはり慣れない。
「同じ高校だったんですね」
「中川さんって呼んでいいかな?」
「凉でいいですよ」
「わかったよ、凉」
「では……悠人くん、と呼ばせていただきます」
「あぁ」
表には出さないようにしているが、結構緊張している。
女子と話すのは事務的報告以外ほとんどなし。それに会ってすぐに名前呼び、緊張しないわけがない。
「凉は敬語を直さないのか?」
「私は誰とでも敬語で話していたのでこれしかできないんです」
敬語でしか喋れないってすごくないか。
「それで、さっき言っていた妖気って何なんですか?」
「妖気は体の中にある、潜在能力のようなものだ。妖気が強ければ強いほどそのものの潜在能力の力が大きくなる。そして……妖魔という化け物に襲われやすくなる」
「ちょっと待ってください。でも私、その妖魔に襲われたことも、ましてや見たことも聞いたことすらも、さっき悠人君が教えてくれるまで一度もなかったですよ?」
「妖気の小さい人は妖魔が見えないから。それに凉が今まで襲われなかったのは、何か特殊な力が凉に働いていたんだ。いつでも持っているものはない?」
「お守りならいつも持ってます」
そう言って凉は赤いお守り袋を持っていたバックから取り出した。
「ちょっと失礼」
「どうぞ」
俺はそのお守りの中からお札を出した。
「やっぱり」
そこには妖気を一般人ほどに押さえる呪文が書かれていた。
しかし……、そのお札は真っ二つに割れていた。
「このお札は元々割れてた?」
「分からないです。お母さんに『あなたを守る力が逃げちゃうから開けちゃ駄目だ』って言ってたので、開けたことがなかったです」
律儀に守っていることを考えると、凉は相当親が好きだったらしい。
「これを持ってるってことは十中八九妖気が強いってことだよ。凉のお母さんはまた作れるのか?」
「お母さんはこのお守りをくれた半年くらい後に死んじゃいましたから無理だと思います」
「あぁ、ごめん。なんか辛そうなこと聞いちゃって。ちなみになんだけど、お父さんは……」
「私が物心つく前にお母さんと離婚してます。なので中学までは母方の祖父母の家に住んでて、高校からはこの街で独り暮らしです」
なんだその二次元主人公のような生活。
「また辛い思いをしなくちゃいけないんですか……。私死んじゃうんですか?」
そうか。彼女は母親を亡くしている。それだけでも辛いのに、こんなことがあったら。
「いや、助かる方法はある」
「それは……?」
「凉、しばらく俺の家で生活しない?」
出会ってすぐに、家に連れ込もうとする主人公とはいったい。
あと一時間後に更新します。
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