第1話
初投稿です。
拙い文章ですが少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
春
それは新しい出会いの季節である。
そしてここにも、その例に漏れないやつがいる。
今日は気温もちょうどよく、太陽が眩しい。何かいいことが起こりそう、と思い久しぶりの散歩のため、大通りを歩いていたら……
雲の間から、轟音と共に光るものが飛んできた。
……なにがいいことありそうだよ。
飛んできたものをよく見ると、真っ黒な槍のようなもが俺を目指して吹っ飛んできた。
あと、数十メートルで俺に直撃するというところで、予想をしていないことが起こった。
俺の数メートル前を女子生徒が通りかかったのだ。
俺の前、すなわち槍の攻撃が当然当たる位置だ。
「くそっ!」
足に力を入れ全力で駆け出した。
「キャッア!」
女子生徒が黒い槍に気づき、その場にへたり込んでしまった。
「大丈夫ですか!?」
「は、はい。でも、何か……何か黒いものが飛んできています!」
目を戻すと黒い槍はすぐそこまで迫っていた。
やるしかないよな。
彼女の前に立ち、右手を大きく振りかざし叫んだ。
「――天の反撃!」
黒い槍が俺を中心に展開した円形の防御結界に当たった瞬間に威力が倍増され、もと来た道を一直線に戻っていった。
そして……
耳が張り裂けそうな音がなった後、
金色の光が円柱形に空高く伸び、だんだんと細くなって消えた。
「あ、危ねー。間に合って良かった。怪我はありませんか?」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
彼女はそう言って、きれいにお辞儀をした。
「いえ、気にしないでください。怪我がなくて良かったです」
それにしても……、
「何ぜあの槍が見えたんです?」
「え? 何でって言われても、普通に見えましたよ。それより、あれはなんなんです?」
「あれは誰にでも見えるものではありません。妖気がそれなりに高くなくては見えません」
「妖気?」
そんなことを話していたら、俺たちの回りにいた人たちが、
「あらあら、また悠人くんの中二病だよ、飽きないねぇ」
「何だあいつまだやめてなかったのかよ」
「いいじゃないか、まだ子供心を捨ててないってことで」
そんなに冷たい目で俺を見ないで……。
「と、とにかくその妖気とかさっきの黒い槍とか、その他もろもろについて話がしたいので、今から時間をいただけないですか?」
彼女は少し考えたように下を向いていたが、
「わかりました、いいですよ」
「では、行きましょうか」
そんな訳で俺たちはこの近くにある、人のあまりいないカフェに行った。