狩りに行こう
敵、敵! 悪い奴はどこだぁ~。
「レオンさん、おはようございます」
「エレナ! おはよう。もう、朝なの?」
「ええ、まもなく、朝日が昇りますよ」
「………本当だ!」
見張りに夢中で、気付かなかった。確かに、少し明るい。
「見張りは疲れたでしょう? 朝食が出来るまで、休んでください」
「平気、平気、気にしないで」
「次の町まで、あと3日くらいは必要です。ですから、無理をしないでくださいね?」
「ねえ、町の名前は?」
「町の名前は、テーネ。カサーブと同じ国に、所属しています」
「へぇ~、そうなんだ」
「所属する国の名前は、ヒュマン国。人間の王が統治しています」
ヒュマン国は、人間中心の国なのかな?
あっ! シェリーがテントから出て来た。
「ふわぁ~、…………エレナちゃん、レオン君、おはよう」
「シェリーさん、おはようございます。マリーさんは、まだ寝ているのですか?」
「…………うん、まだ寝てるねぇ~」
「シェリー、おはよう」
うわぁ~、寝起きのシェリー、エロい!
少し眠そうな表情と、乱れた薄い服…………エロい!
見ちゃダメ、見ちゃダメ。下着が見えそうだけど、見ちゃダメ!
…………チラッ、じぃーーっ。
「ふふっ、レオン君、お姉さんに何か用があるの?」
「えっ、あっ、はい。……えっと、ヒュマン国はどんな感じですか?」
「そうねぇ、いろいろ問題が多くて、治安の悪い国だと思うなぁ」
シェリー、満面の笑みで俺を見ている…………。
どうしよう、ジロジロ見ていた事、謝った方が良いのかな?
「コホン!、レオンさん、暇なら野営地の後片付けをしてください」
「は、はい。すぐやります!」
「シェリーさん、朝ですよ。服を着替えてください」
「は~い。あっ、エレナちゃん、収納魔法でしまってある、下着を取り出して」
「わかりました。テントの中に置いておきますね」
「ありがと。あら、レオン君はお姉さんの下着に、興味があるの? ふふ、特別に見せてあげようかなぁ~」
「えっ! 本当ですか?」
「レ、オ、ン、さん、早く後片付け!!」
「はい、すみませんでした!」
その後、野営地を片付けると、食事を終えて出発。
順調に、馬車で街道をのんびりと移動する。
途中で、魔物に2回、盗賊に1回、襲撃されたけど問題なく撃退。
4日後の午前中に、テーネの町に辿り着く。
う~ん、カサーブの町より大きいかな?
田舎町と言うより、都会の雰囲気がする。
「シェリーさん、お金を渡しますから、町の情報を集めてください」
「ええ、いいわよ」
「私は、宿の手配と食料品を買いに行きます」
「エレナ、買い出し手伝おうか?」
「いえ、私1人で十分です。皆さん、夕方に宿で合流しましょう」
さてと、夕方まで何をしようかな?
とりあえず、店に行こう。
「なあレオン、あたしと狩りに行こうぜぇー!」
「マリー、どこで狩りをするの?」
「近くの山に、獲物がいるんじゃねぇか?」
「レオンさん、マリーさんを頼みます。それでは、また後で」
「うん、マリーの事は任せて」
「レオン、早く行こう~」
「わかったから、手を引っ張るのは止めてぇー」
マリーの手にある、小さな肉球がやわらかい。フニフニして、気持ちいい。
あっ! シッポがパタパタと動いてる。
肉球、猫耳、シッポ…………。マリーは、かわいいなぁ~。
マリーに、手を引っ張られながら歩くと、お昼ぐらいに辿り着く。
山のふもとは、森が広がっていた。
「お腹すいたなぁ~。レオン、早く獲物を捕まえて、ご飯にしようぜぇー!」
マリーは元気だなぁ。薄暗い森に、ダッシュで行っちゃった。
まずいな、早く追いかけないと、見失いそう。
森で狩りを始めてから、マリーの機嫌がどんどん悪くなる。
原因は…………。
「なんだよぉー! アンデットばっかりで、獲物がいねぇーー!!」
マリーが怒る気持ちは、よくわかる。
狩りを始めてから出会ったのは、ゾンビ犬、スケルトン、動く何かの死体など、アンデットばっかり。
つまり、食べられる獲物に、出会っていない。
マリーの空腹は、限界が近い。何か食べ物を、持ってくれば良かった。
荷物を全部、エレナに預けたのは、失敗だったなぁ~。
「レオン、獲物を見つけた?」
「いや、見つからない。…………あっ、待って、何かいた!」
「本当かよ、……おい、あれ、イノシシだぁ!」
あれが、イノシシ?
高さが2メートルくらいの、巨大イノシシなんですけど。
あっ、マリーが一撃で仕留めた。
「レオン、解体するの手伝ってくれ、焼いて食おうぜぇー!」
イノシシの解体を手伝ったけど、下手すぎてマリーに怒られた。
よし、解体の手伝いは諦めて、たき火の用意をしよう。
えっと、木を集めて、火を起こせばいいのかな?
火を起こす? …………マッチが無い、どうしよう。
思い出した、木をこすると燃える。
木をこする、こする! ……やった、燃えた!
「マリー! 火の用意が出来たよぉー」
「それじゃあ、焼き肉を食べようぜぇー!」
イノシシ肉を直火で焼くと、遅い昼食を食べ始める。
空腹のマリーは、食べる量がいつも以上だなぁ。
「ねえ、お土産にする肉は、残してあるの?」
「大丈夫、ちゃんと残したよ。………ちっ、客が来やがった!」
「あっ、本当だ。……何か来る」
マリーは食事を止め、戦闘態勢を取る。
なんだろう、何か近づいて来る?
あっ! 遠くから地響きが聞こえてきた。
「マリー、何が来てるの?」
「…………」
地響きが近くなると、木をなぎ倒して、こん棒を持った巨人2体が現れる。
巨人の特徴は、身長3メートルくらいで、顔が酷い。
それと、筋肉がモリモリで全身黒い。
「あれは、トロールだぁ!」
「へぇ~、あれが、トロール」
「逃げるぞぉ! 無理だぁー!」
「待って、俺が倒す」
「止めろ、無茶するなぁ!」
「マリー、危ないから下がって」
【 戦闘開始、敵、ブラックトロール2体 】
レオンは、ブラックトロール2体に、連続パンチで攻撃した。
124回、HIT ダメージ、オーバーキル
ブラックトロール2体は、消滅した。
【 戦闘終了、ブラックトロール2体を撃破 】
「マリー、怪我は無い?」
「…………おめぇ、本当に人間か?」
「うん、そうだよ」
「いや、いや、いや、そんなわけねぇだろぉーー!」
「そうなの?」
「トロール2体を、素手でボッコボコに出来る人間なんて、聞いたことねえ」
「へぇ~」
「…………はぁ~、なんかすごく疲れた。早く帰ろうぜぇ」
2㎏くらいの、焼けた肉の塊を持って、俺とマリーは歩き出した。