仲間2人と出会う
「俺の、メロンパンを返せぇぇーー!」
……あれ? なんだぁ~、夢か。
テントの中が明るい、……まだ眠いけど、朝が来たなぁ。
エレナは、起きたのかな? 外に出てみよう。
「あっ! おはようございます、レオンさん。もうすぐ、朝食が出来ますから」
「エレナ、朝食を作ってくれたの? ありがとう、うれしい」
よし、エレナが朝食を作っている間に、野営の後かたずけをしよう。
始めに、警報として使用した、魔法の糸を回収。
次に、テントを片付けよう。……難しい、あれ? えっと…………。
エレナ、大丈夫だから、心配そうな顔をしないで。…………ほら、出来た!
「…………あの、朝食が出来ましたよ?」
「本当! ありがとう。いただきます」
朝食は、ゆでた麺を塩味で炒めた料理かな? 塩焼きそば? 塩パスタ? …………よくわからないけど、美味しいから、気にしない。
さて、今日は何をしようかなぁ…………。
まずは、エレナの仲間が捕まっている町に行く。
その後は、…………何をしよう?
未知の敵と戦い、異世界の平和を守るために、転移して来たけど…………。
具体的に、何をしたらいいのかな?
とりあえず、敵を探す。…………敵って何?
う~ん、平和を守る。…………どうやって?
考えろ! 考えろ!! ……………………だめだ、考えがまとまらない。
やめた。考えるの、もういやぁぁーーー!
仲間を助けた後、エレナはどうするのかな?
エレナと別れるのは、寂しい。凄く寂しい。…………寂しいよぉぉ~。
「あの、レオンさんは仕事、何をされているのですか?」
「…………無職です」
「では、今後の予定は無いのですね?」
「えっと、敵を倒して平和を守る。…………予定です」
「おぉー! すばらしい考えです。やはり、レオンさんは私と考えが似ていますね」
えっ!? エレナが突然俺の手を握って来た。
やわらかくて、あったかい。し・あ・わ・せ~。
「レオンさん、私たちの世直しの旅に、同行してくれませんか?」
「世直しの旅?」
「この世界には、様々な悪と不正が蔓延しています。さらには、危害を加える魔物までいる。私と仲間2人は、悪者と魔物を倒して、苦しむ者を救う世直しの旅をしているのです」
エレナ、顔が近い! まつ毛長い、瞳が綺麗。とても美しい。これが、絶世の美女かぁ~。
あっ、凄くいい香りがする。
「レオンさんなら、世界中の悪者を倒し、平和を守ることが出来ます。ぜひ、私たちと世直しの旅をしてください!」
「…………ほぇ? あっ、はい。もちろんです」
びっくりしたぁ~。エレナに見とれて、よく話を聞いてなかった。
えっと、エレナたちと一緒に、悪者を倒す旅をすればいいのかな?
一緒に旅をする。つまり、エレナの傍にいられると言う事。
やったー! バンザーイ、バンザーイ。エレナと一緒にいられる!
悪者、すなわち敵。ふふ、敵を発見しました。
エレナと一緒に、悪者を倒していけば、世界の平和を守れる!
よし、今後の予定が決まった。
世直しの旅をする。そして、エレナを守って悪者を倒す。
「エレナ、食事は終わった?」
「はい、もう終わります」
「それじゃあ、すぐに仲間を助けに行こう」
「わかりました。仲間が捕まっているのは、カサーブの町です。ここからだと、1日くらいの距離ですね」
「1日? …………俺、全力で走る。そうすれば、すぐに到着すると思う」
「待ってください。私の速力では、レオンさんに追いつきません。ゆっくり走りませんか?」
う~ん、少しでも早く仲間を助けて、世直しの旅がしたいなぁ。
「エレナを、抱っこしてもいい?」
「えっ、どういうこと?」
その後、エレナをお姫様抱っこして、カサーブの町にダッシュで向かう。
怖がるエレナのために、手加減してダッシュをすると、出発してから約10分で目的地に到着。
「到着。おぉー! 結構大きな町だ」
「あはは、さすがレオンさん、早いですね」
石畳の道、レンガの家、町を囲む高い石壁。映画の様だな。
本で読んだ、ファンタジー世界にそっくり。
「レオンさん、私は罰金を払って、仲間を連れて来ます。ここで、待っていてください」
「うん、わかった。大きな門の所で待ってる」
30分後
………………………………暇。
………………………………やっぱり、暇。
ヒマ、…………マントヒヒ、…………ヒマワリ…………リス。
エレナ、まだかなぁ~。屋台から、いい匂いがする。美味しそう。
「大変だぁーー!! 魔物が出たぁーーー!! 警備兵を呼べぇーー!」
おや? 魔物が出た? …………行ってみよう。
魔物はどこかな? ……あっちの方で、爆音がする。
いた! 全長3メートルくらいの巨大なサソリが、町を守る壁を壊して大暴れ。数は5匹かな?
うわぁ、怪我人が多い。
あれ? 俺の後ろから、誰かが走って来る。
「ひゃぁーーーっ!、はぁぁーーーっ!」
突然、大声を上げた白いものが、俺の横を走り抜けていく。
「魔物は、皆殺しだぁーーー!!」
白いものは女性の様で、槍を振りかざして魔物に斬りかかる。
おぉー! 一撃で巨大サソリを倒した。
「おら、次ぃ!」
次々と魔物を倒していく。……おれの出番はないな。あっ! 敵が全滅した。
半袖、短パンに白衣を身に着けた、白い女性をよく見ると、白髪の美少女だった。
あれ? ネコミミとシッポがある。…………獣人?
「おっ? なんだコラ? なに見てんだよぉ! やんのかコラ? いつでもやってやんぞコラァ!」
どうしよう、いきなりケンカを売られた。女性をジロジロ見たのは、良くなかったかぁ。
とりあえず、謝る? それとも、逃げる?
「マリーーー!! だめぇーー! その人にケンカを売っては、だめぇーー! やめてぇーー!」
おっ! この声はエレナだ。
…………あれ? 走って来るエレナの後ろに、誰かいる?
「エレナ、この男は知り合いなのか?」
「レオンさん、すみません。マリーが失礼をしました。この者は、私の仲間です。名前はマリー」
「いってぇーなぁ。エレナ、あたしの頭を叩くな!!」
「うるさいです! 話があるから、来なさい!!」
「耳を引っ張るの、やめろやぁ~!」
へぇー、白い女性の名前は、マリーなのかぁ。
マリー、エレナに引きずられて行ったけど、大丈夫かな?
「こんにちは、お兄さん」
「えっ、あっ、はい。こんにちは」
驚いた~。突然、見知らぬ女性に声を掛けられた。
褐色の肌、長い耳。この女性は、ダークエルフかな?
それにしても、凄い。この女性、スタイルが凄い。
まず、胸が巨じゃなく爆、腰が細い、お尻が大きい。
しかも、薄手のドレスを身に着けている。ビキニアーマーのエレナを超えた、反則だと思う。
うすい紫色の、足元まで届く長い髪も、良く似合っている。
この女性は、エロいお姉さんの雰囲気がするなぁ。
今、女性がじぃーーっと、俺の事を見ています。
この女性の瞳、深いなぁ。どこまでも引き込まれそう。…………とても深くて底の見えない、綺麗な瞳をしている。
「へぇ~、珍しい。なるほど、エレナちゃんが気に入るわけだ」
「お姉さん、エレナの知り合い?」
「ふふっ、そうよ。お姉さん、仲間の1人なの」
「えっと、俺の名前はレオンと言います」
「ふふっ、お姉さんの名前は、シェリー。君のこと気に入ったから、よろしくねぇ~」
エレナの仲間2人、想像以上だった。
出会って間もないが、世直しの旅が楽しくなりそうな予感がする。
評価ポイント、ありがとうございます。
凄く励みになります。