レベル無限さん、異世界で活動開始
毎日更新ができるか、わかりません。
頑張ります。
神界
真っ白な世界に置かれたコタツに入って、異世界に転移していく男の様子をテレビで見ていた女神に、1人のマッチョな男神が近づいて、声を掛けた。
「転移神!! あいつは無事に転移出来たのか?」
「大丈夫ですよ、あなたに頼まれた通りに、異世界マンマールに転移させました」
「それは良かった。地球にあいつの居場所は無い、異世界こそ必要とされる場所だからなぁ」
「成長神、人間嫌いのあなたが珍しいわね。彼に加護を与えたのでしょう?」
「確かに、弱い生物の人間は嫌いだが、あいつのバカみたいに強い心は嫌いじゃない。つい、応援したくなった。だから、無限に成長する加護の力を与えたんだ」
「へぇ~、そうなんだ。ところで彼は、どれくらい成長したのですか?」
転移神の質問に、成長神は腕を組んで少し考えてから、ため息をつく。
「正直、わからない。強さをレベルで表現するなら、今のあいつはレベル無限だ。強さの次元が違う」
「強さの次元が違う?」
「ここだけの話だが、神を超えている」
「わあー!! わあー!! 聞こえない! 私は何も聞いてない、あなたが1人で責任を取りなさい!」
「大丈夫、大丈夫。あいつは悪人じゃない、平和を守りたい一心で強くなったんだ、何も問題を起こさないはず。それより、転移神はあいつに加護の力を与えたのか?」
「もちろん、与えたわ。加護の力で、彼は異世界でも言葉と文字が理解できると思う」
「転移神、レベル無限の強さを持ったあいつが、異世界でどんな人生を送るのか、気になるだろ?。俺は、わくわくが止まらない!!」
「ええ、そうですね。彼の一生を見続けるのは、退屈しないで楽しめそう」
転移神と成長神は、異世界でレベル無限の彼がどの様な活躍をするのか、期待に満ちた目でテレビを見つめた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
まばゆい光が収まると、見知らぬ草原にいた。
周囲を見回すと、目の前に森、遠くの後方に岩山、右と左の方は草原が続いていた。
ここは異世界?、少なくとも東京ではないと思う。
さて、これからどうしようか?
ここは人の気配が無いから、とりあえず人を捜そう。
森と山に人はいないだろうから、草原を右に進んでみよう。
陽気な歌を歌いながら進んで行くと、草原の中で青い何かが動いた気がする。
あれは何だろう?、スライムかな?
草原の中に隠れていた6匹のスライムは、俺に向かって一斉に突進して来たが、痛くない。むしろ、ぷにぷにして気持ちいい。
「ス、ラ、イ、ム、だーー!! 異世界に、俺は来たぞーー!」
異世界に転移できた事が嬉しく、喜びを表現するために、スライムを持ち上げようとして掴んだ瞬間。
スライムが粉砕した。
突然、粉々に粉砕したスライムを見て驚いていると、残りのスライム5匹が凄い速さで逃げ出していく。
スライムが見えなくなるまで見送り、移動を開始しようとしたら、足元に緑色の葉っぱが落ちていた。
粉砕したスライムが落とした物かな? ドロップ品? とりあえず少し食べてみよう。
うん、まずい。いらない、ポイ捨て決定。
スライムと遭遇した場所から、右方向に草原を歩き続けていると、森の方から女性の叫び声が聞こえてきた。
なんだろう、とりあえずダッシュで向かってみよう。
目的の場所に近づくと、剣を構えて戦闘態勢を取る、ビキニアーマーの女性1人が、ゴブリン30匹に囲まれていた。
あれ? 女性の耳が長い、エルフかな?
エルフの女性が、ゴブリンに囲まれている。つまり、緊急事態!!
エルフさん、今あなたを守りに行きます!
ゴブリンに向かって爆速で近づくと、パンチを連打した。
30回、HIT ダメージ、オーバーキル
30匹の敵は、砕け散った。
ゴブリンを瞬殺して、エルフの女性を見ると、蜂蜜色の美しく長い髪が特徴的な、絶世の美女だと気付く。
それにしても、スタイルの良い女性がビキニアーマーを着るのは、反則だと思う。すごく、セクシー。
おっと、いけない。女性を無言で見つめるのはマナー違反だ、何か声を掛けてみよう。
「エルフさん、怪我はありませんか?」
「はい、私は大丈夫です」
「そうですか! エルフさんを守ることが出来て良かったぁ~」
「私の名前は、エレナ。ありがとう、助かりました」
エレナさんをゴブリンから守れて、本当に良かった。もし守れなかったら……
うん、想像したくない。
そうだ、俺も名前を名乗らないと。
う~ん、名前かぁ~。異世界に来たのだから、本名ではなく新しい名前にしたいな。
何が良いかな?……ジョン・マ○レーン、だめだ怒られる気がする。
あっ、ぴんっときた。レオンにしよう!
「俺の名は、レオン。ここは危険だから、もしよければ安全な場所まで、あなたを守ってあげたい」
「嬉しい提案ですが、私はやらなければいけない事があるので、遠慮します」
「そうですか、俺に手伝える事はありますか?」
「えっ! 助けてくれるのですか? ……いえ、必要ありません。気にしないでください、1人で出来ますから」
エレナさん、凄く思いつめた雰囲気だな、少し手が震えている。
助けを求める女性を見捨てるのは、人にあらず!!
「エレナさん、俺はあなたを助けたい。遠慮しないで話してください、力になりますから」
「どうして、初めて会った私を助けてくれるのですか?」
「それは、あなたが助けを求める顔をしているからです」
「なぁ!? ○×△□……」
「あの、顔が真っ赤ですけど、大丈夫ですか?」
「だ、だ、大丈夫です。……レオンさん、実は8日以内に、大金を手に入れないといけないのです」
「大金、どのくらい?」
「……1000万ゴルドです」
「あの、理由を聞いてもいい?」
「簡単に話すと、町で貴族の息子にしつこくナンパされて、嫌だと断ったら捕まったのです。10日後までに、罰金1000万ゴルドを納めないと、牢屋にいる仲間2人と私を奴隷にすると言われて……」
「なるほど、それは酷い。今すぐに牢屋を破壊して、仲間を助けるから!」
調子に乗っている貴族、許せん!! 正義の鉄槌を与えてやる!!
「ありがとう、気持ちだけでも嬉しい。ですが、1000万ゴルドを手に入れる方法はありますから、正攻法で助けたいです」
「手に入れる方法があるの?」
「はい、あそこに見える岩山には、黄金ゴーレムが生息しています。1匹倒すだけで、10万ゴルド相当の金塊を落としてくれますから」
「つまり、100匹の黄金ゴーレムを倒せばいいの?」
「そうなのですが、黄金ゴーレムが桁外れに強いので、倒す方法が思いつかず困っていました。レオンさん、倒す自信はありますか?」
「当然です。俺に任せてください!」
エレナさんの仲間を救うため、黄金ゴーレムを倒しに、いざ行かん!!