1/10
①家で
一ヶ月前くらいから、朝と夜の数時間に家政婦というものが来ている。
家事を父の代わりにやってくれるものなのだが、その家政婦はそれなりに上手だ。
料理も掃除も洗濯も完璧とまではいかないが、満足出来るほどのものだった。
ずば抜けて凄いとかはない。
格付けするとしたらちょうど真ん中くらい。
でも、家にひとり加わっただけで、以前とは全く違う世界が見え始めていた。
父が離婚して少し経った時から、その家政婦は家にほぼ毎日来ている。
それは僕が中学校に通い始める数日前くらいのことだった。
家政婦は僕のことを普通に民男くんと呼ぶ。
そして父のことは、僕と同じでお父さんと呼ぶ。
家政婦は臣田円さんという名前で、かなり角張った漢字をしている。
でも、その割には表情や性格にしっかりとした丸みも感じられた。