Birthday! mail
件名:今日は何がいい?
本文
由美です。
今日はあなたのバースデーね?
食事一緒にするんでしょう?
何がいい?
あなたの好きなロールキャベツかな?
それとも大嫌いなビーフシチューにしちゃおうかな?
じゃあ、20時に待ってるわww
不倫相手から届いたメール。
2年続いたきわどい関係だ。後妻とは結局うまく行かず、またもやこう言う事になっている。
後妻とも一時不倫関係だったか…。また同じ過ちを繰り返すのかな?俺は…。二度あることは三度あると言うし。でも、この娘はまだ若い…。俺の手に余る代物だ。とは言え、離れられない関係でもあるな…。男と女。と言えば分かるだろうか。
妻には残業で遅くなるとは言っておいた。子供はまだ小さいから、俺が誕生日だと言っても気にも留めないだろう。なんせ後妻だからな…。連れ子は俺にあまり懐かない。まぁいい。今日は俺の誕生日だ。由美と缶チューハイで乾杯でもいいさ。
いつものように明かりの灯ったアパート。ここの小さな部屋で俺たちは愛し合う。中から料理中なのか香しい匂いが立ちこめている。可愛らしいデコレーションされたアパートの呼び鈴を押す。
ピンポーン
「お帰り!今日は少し早いかな?」
「いや、丁度ぐらいが今日はいいかと思ってさ」
「そう?あなたらしくないじゃないの?いつもなら10分は遅刻するのに!さぁ、上がって?」
スリッパを履き、玄関から2DKの小さなアパートに入る。香しい匂いが扉を開けると一層に……。
「なっ!何でお前がいるんだよぉ!」
「お帰りなさい!あなた?」
キッチンで料理をしていたのは、妻のさゆりだった。
「さぁ?今日はあなたの大嫌いなビーフシチューよ?奮発したんだからね?」
まさにこれから始まる恐怖の瞬間だった。
「…………………」
「どうしたの?さぁ?席に着いて?あなた?」
「そうよぉ?あなたぁ?」
「…………………」その時、会社の専務からメールが入った。
件名:褄尻より
本文
誕生日おめでとう。格下君。
突然だが、明日10時より子会社へ出向してくれ!
お前の素行は奥さんから聞いてる。
残念だが、由美はワシのモノだ。
事情は分かるな?
では宜しく
女は怖いと思った瞬間だった。
終わり