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AI(人工知能)に官能小説を書かせるには、どうすればいい?  作者: にのい・しち
1 Andrоidは電気ウナギで夢精するか?
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11 官脳化

 数週間、小説を読み込んだ頃、部員達にある変化が起きた。


 設楽が辛そうに、小説を机に投げ出し、唸る。


「駄目だ! 飽きてきた」


「僕達、大分読み込んだからね。文章にも、慣れて来たせいで、パターンも解ってきたから、段々、感じるものが薄れてきた」


「これじゃ、官能小説も、C言語と変わらねぇよ。命令文の羅列だぜ」


 モンちゃんが、真顔で言い放つ。


「やっぱり、前戯ぜんぎの過程必要なんだよ」


 部員達の、怪訝な顔を見て、モンちゃんは、自分の過ちに気付き、言い直す。


「――――前後の過程が必要なんだよ!」


 彼は恥ずかしさを上塗りして、消し去るように、大声で言い直す。

 モンちゃんの脳内が、官能化されて来た。


 僕は彼から、要点を引き出す。


「つまり?」


「羞恥心や性的な記憶、初体験のような、周囲に経験を語ることが、はばかられるような行動だよ」


 モンちゃんが力説する提案に、設楽が異議を唱える。


「おい、待て。それは俺が、最初に提案したことだろ?」


 設楽に構わず、僕は掘り下げる。


「はばかれる行動って何があるの?」「俺が最初に言ったろ?」

「例えば、初めてエロゲーを買ったとか」「だから、俺が言ってたろ?」

「モンちゃん、エロゲーとかギャルゲーから、少し頭を切り離そうよ」「聞けよ!」


 ハツリさんは、呆れて話を切った。


「もう! 官能小説とかエロゲーとか、男子はエッチな発想ばっかり。ねぇ、他に何かないの?」


 そして、この男が話に加わり、事態は思わぬ方向へ、舵を切る。


「あるぜ! 官能小説やエロゲー以外で、スゲぇことが……」


 設楽が、何か案をひっさげて、割り込んできた。

 蓄えた顎髭が、彼の笑みを、下品に見せる。


「見てろよ」


 そう言うと、静かに室内を歩き、ある人物の腕を掴み、椅子から立たせた。

 

 そして、僕は見た。

 

 設楽の顔が、影に入り、表情が見づらくなった際、この男の目が一瞬、光を放ったことを――――それは闇に潜み、常に人間を堕落へと引き込こもうとする、悪魔に見えた。


 背後へ回った設楽は、小柄なメガネ学生の両膝を掴み、一気に持ち上げる――――。


「うわぁぁぁーーーー!?」

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