4、ストーリー
論理か情緒の説明型のこと、人情の紆余曲折と論理構文。帰納、演繹、序破急、下げて上げる、積んで刺す、滞って流れる、善悪二項、革命、黄昏。といった理解しやすい、または誘導しやすい型のことを言う。
高品質な文をロジック、低品質な文をマジックとする。人は品質よりも値段を優先することが判る。夕方疲れた時、夏暑い時、冬寒い時、食後ぼんやりする時、人の頭脳はマジックを受け入れ易くなる。
ターゲットのIQがいつも一定なら、最適の型は毎回いくつか3、4パターンだろうか、使い回すしかない。想定する客のIQが低いほどパターンは減る。複雑な説明の仕方に付いて来れない。型の選定は、客の短期記憶や長期記憶の性能を考慮する。
くさいかなキザかなと思うものでも、客によっては其処までされてようやく滂沱の涙を流すなどよくあることだ。全体がスカスカでもバトルさえあれば気にならなかったり、つじつまを放り投げて人情人情と繰り返したり、解りにくい気の利いたオチだったり、普通の生活を綺麗な映像で撮っただけとか。
押して押す、押し引き、引き押し、引き引き、様々にタデを食う。ストーリーは、ジャンルもそうかもしれない、客層に合致した型を選択しなければならない。恋愛映画で引き引きは、消化不良だし、推理モノで押し押しだと作者の知能を槍玉に挙げられよう。
観客が高い教養と深い知性を備えているなら、ストーリーや論理の順序など必要ない。客は勝手にバラして、混ぜて、類別し、系統付けて、比較するのだから、文の並べ順に影響されない。
あなたが、映画を見て、小説を読んで、納得、説得されないようなら、作者の想定したターゲット層と合致しなかったのだろう。「合致しなかった」を表明すれば「賢い」になれる。「賢くない」にもなれる。