1 異常な夜
『麻那は浴衣姿じゃないのか・・・』と浴衣姿に期待していた僕は思った。そんな、そんな少し悲しい思いをよそに、麻那は笑顔で手を繋いではしゃいで・・・
ふと、思い出がフラッシュバックしてくる・・・泉麻那と付き合い始めたのは中学3年の冬だった。目指す高校は同じだったし、お互い推薦入試の面接練習をしていたころだった。自信を持って言うことではないが僕に告白する勇気などない。麻那のほうから告白してきたのだった。何と言われて告白されたのかは覚えていない、昔から僕の記憶は消えやすいのだ。生まれた頃からの障害だと親は顔色を悪くして言う。
なのに、なぜだ、所々は覚えている・・・
そんな思い出にふけていると僕の視界から麻那は消えた・・・
どこへ行ってしまった?さっきまで右手にあった温もりは予兆もなく消えていた。その時だった。
やけに暑い。・・・麻那が居なくなってこんなことを思うのはおかしいが・・・それにしても・・・。僕は周りを見渡した。周りを見渡したのは麻那を探すためでもあったが、その他にも理由があった。
「視線を感じる」
偵察やストーカーの類ではない。ましてや、その視線は人から発せられた視線であるのかも怪しい。
周りを見渡しているとある一軒の民家が燃えていることに気づいた。ひどい燃え方だ、ほぼ全焼じゃないか。その家の前で棒立ちにになっている男がいた。この家の人だろうか、僕とあまり年が変わらないように見えるし、どこかで見たことのある人だ。大量の汗を出している。というか、あれは汗なのか?と疑うほどの量だ。
なぜか僕はその男に呼ばれたのかのように近付いっていった。見るとその男は僕のクラスメートである男だった。名前はたしか・・・神門出流だったはず。変わった名だから覚えている。
気付いたら僕はその男の隣に立っていた。その男は囁くように僕に言った。
「来たか、大義名分は出来た。開戦だ。」
僕はそれを聞いたとたんに大量の汗が出た。なぜ、そうなったのかよく分からなかった。続けて神門は言った。
「まずは泉を探さないとだな」
なぜ神門は麻那が僕からはぐれたことを知っているのか、分からなかった
主人公だけ名字分かってないなんておかしいですね~
次回以降になんとなく載せたいです