モテない女。
誰が見ても麻里奈をブサイクだなんて言う人はいなかった。密かにクラスで男子から3番目人気があるほどだった。
今までだって何度も告白されてきたし彼氏だってそれなりにいた。
女友達からはいつも
麻里奈はモテモテでいいよねー!
とはやされていたし、そんな自分が嫌いでもなかったし少し優越感もあった。
麻里奈には好きな人がいた。
背が高くて、すらっとした体型
顔も整っていたし当たり前に女子から学年1人気があった。
女子からは王子と呼ばれていたほどだった。噂によれば彼女はいないようで頑張ればいけるかもしれない…と麻里奈は思っていた。
3年のクラス替えで麻里奈は運良く王子と同じクラスになった。
なんとか王子に近付こうとしたが逆に他の男子からアドレスを聞かれたり、告白されたりなかなか上手く行かない。
そんなある日、王子に彼女ができたという噂を聞いた。
誰!誰!と麻里奈は友達の会話に加わった。
隣のクラスの詩織だよ、
と言われ麻里奈は直ぐに誰かわかった。
クラスは同じになったこともないしもちろん話したこともない。だけど詩織と言えばだれでもわかる。学年1の美女だから…
あー…そうなんだ。
そう言って麻里奈は話の輪から外れた。
…そりゃ、王子だもん、学年1のお姫様を選ぶよね。お似合いだ。
そんな風に思った。
しばらくショックでボーッと椅子に座っていたら王子に愛に詩織がやってきた。
あぁ、やっぱりダメだ。絵になる。
泣きそうになった瞬間、クラスの男子に声をかけられた。
ちょっといいかな?
相手はなんだかソワソワしている。
あぁ、うん…
そう答えると誰もいない渡り廊下に連れて行かれた。
あの…麻里奈ちゃんモテるしやっぱり彼氏いるかな…?もしいなかったら俺と…
最後まで聞かない内に麻里奈は
もてないよ!!
そう言ってさっき見た光景を思い出した。
好きな人から好かれないとモテるなんか言わない!
そう言って麻里奈は走り去った。