幸せな女。
最近雑誌でよく見るぽっちゃりとはどの基準で言うのかいまいちわからないが自分はぽっちゃりだと言い張る女がいた。確かにぽっちゃりと言えばそうかもしれない、でも太っていると言っても納得できる様な体型だった。
由紀の体型は昔から良い言い方をすればぽっちゃりしていた。でもそれを気にしたり、別に痩せようとは思わなかった。痩せている友達に向かって
女はちょっとぽっちゃりしてる方がモテるのよ〜
と言う様な女で、高校の頃は影で男子からデブと言われていたが自分のスタイルには自身があった。
痩せている女は色気がない、自分には色気がある。由紀はそう言い張っていた。周りの友達は由紀って自分の体型自覚してないよね?太ってるのと色気は違うよねー勘違いもあそこまで行くと幸せね…
と陰口を言われていたが気づく事はなかった。
自分より痩せている友達がダイエットするなんて聞いた日には、バカバカしく思えた。
それに大学に入ってからは彼氏もでき由紀には不満もなかった。
そんなある日、由紀は彼氏に突然別れを告げられた。理由は好きな人ができたからだった。その女は誰なのかと問いただすと同じゼミの女だった。自分とは正反対のモデル体型の女だったがどう見ても顔は由紀の方が可愛かった。
何?あんな色気ない女がいいんだ!
そう言うと
いや…俺こないだ友達にお前デブ専なの?とか言われて…何かちょっと…
まだ十代、外見を気にする年頃なせいか友人の発言がどうしても気になってしまったようだった。
由紀はかなり落ち込んだ。自分がデブだなんて一度も思ったことはなかったので悔しかった。
何もわかっていない、大人の色気をわかってない!そう思いながら鏡を見つめた。いつも通りぽっちゃりしていて可愛い自分が映る。
それからも由紀はダイエットをする事はなかった。絶対的な自信があったからだ。それから数ヶ月後由紀には彼氏ができた。
ほらね、痩せなくても色気があれば男なんか落とせるのよ!そう思った。由紀はその男がデブ専だという事を知らなかったのだった。