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都合の良い女。

都合の良い女。


とにかく男運がなかった。

別にブサイクなわけでも、性格がねじ曲がってるわけでもない。

もちろん男に興味がないわけでも理想が山のように高いわけでもない。

智子に初めて彼氏ができたのは二十歳を超えてから、二十二歳の頃だった。同じ職場の同い年の同僚、顔はとにかくタイプだったしお互い安月給な事もわかっていたので何から何まで割り勘でも気にはしなかった。

たまに女友達から夜景の見えるレストランに連れて行ってくれただのプレゼントを貰っただの彼の自慢話を聞くと少し羨ましくは思ったが特に多くは望まなかった。

会いたいと言われれば車に乗って会いにも行く、

日々彼氏に尽くし一緒にいる事が智子の幸せだった。


そんなある日、別れは急に訪れた

好きな人ができた。

そう言われ一方的に別れを告げられたのだ。

同じ職場でこの状況、、智子はかなり落ち込んだ。



数日後、運良くも友達から男性の紹介があった。

智子より三つ年上で営業マン前の彼氏なんかより勿論収入は良いに決まっている。

一刻も早く彼を忘れるために紹介されたサトシに会う事にした。

もう直ぐクリスマスだし、さっさと彼氏でも作ろうという気にもなったのだ。


待ち合わせ場所にサトシが来る、思っていたよりもイケメンだった。

それに食事の会計も全部出してくれた。初めての事に智子はときめいた。

それから何度か食事に行くことがあったが会計は割り勘になっていった。でも智子は勿論そんな事気にもしなかった。男が奢って当たり前なんて考えもないからだ。

そのうち家に呼ばれるようになりサラッと付き合おうか。とサトシから告白され人生で2人目の彼氏がクリスマス一日前にできた。

クリスマス前でお互い急いで付き合ったわけじゃないと自分に言い聞かせ

智子は次の日急いで彼の好きなブランド店に行きクリスマスプレゼントを購入した。彼にプレゼントを渡すととても喜んでくれた。でも智子へのプレゼントは用意されていなかった。まぁ、昨日付き合ったばかりだし仕方ない。

自分もそんなに高価な物渡したわけでもないし、そう思って諦めた。


一ヶ月後サトシの誕生日だと会話の中で知った。智子は彼氏の誕生日を祝ったことがない

、初めての事で嬉しかった。プレゼントは何がいいか聞き出し彼が欲しがっていた仕事用のカバンを購入した。四万円のカバンだ。

安月給の智子からするとかなりの高級品、それだけではなく誕生日当時は有名なフレンチレストランにも誘った。サトシに喜んでもらいたいがために心からのお祝いをした。

誕生日当時、勿論サトシは喜んだ。智子は彼氏がいる幸せを噛み締めていた。


サトシの誕生日からまた一ヶ月程経つと今度はバレンタインデーがやってきた。

智子は手作りチョコとサトシが好きなブランドの服をプレゼントした。

別にサトシがねだったわけでもない。

智子はただただ好きな人が喜ぶ姿が見たかったのだ。


来月にはホワイトデー、再来月には智子の誕生日もある。それを考えると少し期待もあった。


いつもの様に智子は週末1人暮らしをしているサトシの家に泊まりに行った。

ふと洗面所に行くと歯ブラシが三本あった。

サトシはブルー、智子はピンク、もう一本ピンク…

自分のではないし、明らかに使っている。

智子の様子に気づかないサトシは先にお風呂に入って行った。智子は部屋に戻りぼーっと自分がプレゼントしたカバンを眺めていた。

するとポケットから紙が出ているのに気が付いた。サトシは鼻歌を歌いながらシャワーを浴びている。智子はそれを確認し、カバンのポケットから出ている紙を取り出した。

サトシへ

紙にはそう書かれていて、綺麗におられていた。明らかに女からの手紙…

智子は怖くて中身を見ることができなかった。


サトシがお風呂から上がる、智子は何も言わなかった。

三月に入ると急にサトシから連絡がなくなった。心配してメールも電話もしたが出ることは無かった。ホワイトデーも知らぬ間に過ぎた頃、サトシから連絡が入った。

友人が事故で亡くなり落ち込んでいたと説明された。

智子はそれを信じまた落ち着いたら連絡して!と明るく振舞った。

それからまたサトシからの連絡来なくなった。何事もなかったように連絡が来たのは智子の誕生日が過ぎた後だった。流石の智子も今回ばかりは腹が立った。

誕生日が過ぎてしまった…そう泣きながら言うとサトシは笑いながら

また来年祝う!

そう言ったのだ。そんな態度を取られても智子はサトシを許した。

その電話を最後にサトシとは半年も連絡が取れなくなっていた。

自然消滅というやつだろう。

でも智子はまだサトシからの連絡を心の何処かで待っている。

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