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息子の誕生日パーティーへ参る


「……どうしよう……今日はアレクシスの誕生日パーティーがあるんだったわね……」


私は、天蓋付きのキングサイズベッドの上で、頭を抱えながらため息をついていた。


声に出してみたものの、その事実が胸に重くのしかかる。


この世界で私が演じるべき役割――それは「悪役令嬢ソフィア」。華麗で冷徹、誰もが恐れ敬う美貌の令嬢を演じなければならない。けれど、今の私にはその演技を完璧にこなす自信などない。


「……キャラを守らないと……冷たい視線、無表情、そして完璧なツンケン態度……」


言葉にして自分を奮い立たせようとするが、胸の中の不安は増すばかり。それでも時間は待ってくれない。私は深く息を吸い込み、決心を固めた。


「誰か、すぐに来て!」


そう呼びかけると、扉の向こうから慌ただしい足音が近づいてきた。そして部屋に飛び込んできたのは、まだ幼さの残るメイドのリナと、落ち着いた雰囲気の年長メイド、アンナだった。


「お呼びでしょうか、奥様?」

リナが震える声で尋ねる。


私はぎこちなく微笑みながら、朝の支度を命じた。

「ええ、華やかに仕上げてちょうだい。」


その瞬間、リナとアンナの顔がわずかに強張った。

……しまった。

普段のソフィアなら絶対にしない「微笑み」――それを自然にしてしまった自分に気づき、心の中で慌てる。


それでも彼女たちは動揺を隠しながら、丁寧に作業を進めた。リナは繊細な手つきで私の髪を編み込み、アンナは慎重にドレスの準備を整える。二人の手は微かに震えていたが、それでも仕上げは完璧そのものだった。


「奥様、準備が整いました。」


私は鏡の前に立ち、息を呑んだ。そこに映る自分は――輝く金髪に華やかなハーフアップ、繊細な髪飾りが美しく揺れ、まるで物語のヒロインのような姿。自分の美しさに驚くなんて、これまでの人生で一度もなかった。


「……これが……私……?」


呆然と呟く私に、リナとアンナはそっと目を細め、満足そうに頷いた。


「ありがとう、二人とも。」

思わず心から感謝の言葉を口にすると、彼女たちは顔を赤らめながら微笑んだ。


そんな彼女たちを見て、私は思った。

この世界で演じる「ソフィア」も悪くないかもしれない――と。


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