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第8話
「それで、実は一つあることがありまして……」
「まだ何かあるんですか」
少なくとも家で保管することができると言う前提で今まで聞いていたが、どうやら何か風向きが違ってきた。
「この刀剣は、実はより詳細な分析をしていただきたいのです。いえ、無理に、とはこちら側からは決して申すことはできません。なのでお願い、という形に今回はなります」
「つまり、ここで刀剣登録はできるけど、それ以上はわからない、ということでしょうか」
「正直、その通りです」
係員は頭を下げているものの、一緒に刀剣登録証を出してくれている。
しっかりとした封筒に入っているが、どうやらこの刀には文化財登録レベルの何かがあるようだ。