第18話
会議室のところで刀を中心に全員が円状になって立っていた。
刀は前と同じように箱の中に納まりながら、箱ごと長机2つを合わせたところの上に置かれている。
「えー、まず、こちらからお話をします。こちらの刀剣ですが、確かに『永享四年六月 造鉄 光重』と記されており、かつ鉄派の刀剣で間違いありません。またおそらくは戦時に使われたことはなかったようで、刃こぼれなども観察されることはありませんでした」
ほかにも刀剣の詳しい説明をしてくれる。
どうやら本当に文化財として登録を勧めるほどの貴重品だったようだ。
長さ3尺2寸、華美な鞘などからも鉄当主が当時の砂賀家当主かあるいは家臣の中でも特に重要な職に就いていた者のために制作をされたとされることも教えてくれる。
「この刀剣については、依頼主は砂賀家当主となっていることが古文書から判明しています。そのため、それ以後に家臣へ下賜をしたものと推定されますが、そこまでは判別しません。また、鉄当主が作刀を担当したことから、家臣のなかでもかなりの高位の人物宛てと考えることができるでしょう」
「しかし、うちの祖先がそんな人物だったとは聞いたことがないですが……」
長男が説明をしてくれていた今回のリーダーへと言い返す。
「その家臣が、さらに下げ渡すということは十分に考えられることでしょう。なので、今回も何かの功労のためにこの刀を渡したのだと考えられます。ただ、この刀だけでも家宝として代々語り継いでいくのに十分な価値があります。それを渡すほどの功労を上げたとなれば、戦乱で助命したとか大将の首をあげたような極めて重要な意味を持つ功労だったのかもしれません。今回はそこまでは調べることはできませんでしたが」
とはいうものの、それぐらい知れただけでも、自分の祖先に思いをはせることはできる。
「そうだったんですね、ありがとうございます」
「いえ、それで、一つお尋ねしたいのですが、この刀の管理はどうされますか」
「管理、ですか」
歴史から一転、現実へと引き戻されて話を続けることとなった。




