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寄託先  作者: 尚文産商堂
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第1話

家の蔵からとんでも無い逸品が出てきたという話は、ときたま聞く。

でも、それが我が家の物置から出てきたとなれば、話は別だ。


500年は続いている旧家の末裔として生まれた俺は、三男坊という気軽さのせいか、結局家を出るという決断をした。

家は長男が継ぎ、次男も俺も家から独立し、盆と正月くらいしか戻らない日々が続いた。

もっとも仲が悪いのかと言われたらそんなことはなく、SMSでずっと繋がってはいる。


そんなある日、家から電話がかかってきて、祖母が危篤ということを知らされた。

一にも二にも、ともかく実家へと妻と子供の家族共々急いで戻り、その最期を看取ることができた。

その後、相続の都合で家中のものの目録を作るという話になって家を掃除していると、長年使っていない家の隅っこにある物置から問題のものが出土した。

土に埋まってはいないが、雰囲気的には発掘そのものの感じだった。


「んで、これはなんだと思う」

でてきたものは仏間へと運ばれ、祖母の葬儀がおわったばかりで仏壇へとまだ位牌が運び込まれたばかりのところの前で捧げられていた。

「……刀、かなぁ」

つつくこともできず、ただ桐箱のふたを開けただけだった。

それでいてそれだけは分かる。

「日本刀を持っているっていう話は聞いたことがなかったけどな……」

いとこも見ながらどうしようかと考えている。

「ともかくこれを鑑定してもらおうよ。それでどうなるのかを考えた方がいいかもしれないし」

「そうだな」

といったところで、代表を3人決めて、近くにある警察署へと持っていくことにした。

調べたら警察署に真っ先に連絡をしてほしいと書かれていたからだ。


一報を入れておいたおかげか、受付で箱ごと持ってきていたらすぐに話が進んでいく。

「えー、登録証は同封されていなかったんですね」

「はい、この箱と、この刀だけでした。ほかには何もなかったです」

警察官と一緒に会議室のようなところで箱を開けたり、中身を確認したり、写真を撮ったりしている。

とりあえずの流れはインターネットで確認をしているわけだが、実際にするのとは話が違う。

「……わかりました。ではちょっとお待ちください」

一旦警察官が部屋の外へとでて、数分後に書類を持ってきた。

「こちらの書類を書いていただいてもよろしいでしょうか」

日本刀を発見したよという形の届出だ。

相続人の代表者として3人が連名で提出するという形で落ち着いた。

「……はい、ありがとうございます。では、また少々お待ちください」

再び書類を持って部屋から離れ、また数分後に何か紙を持ってきて戻って来た。

「ではこれを交付します。この書類については、以後も必要になりますので、必ずなくさないように保管してください」

「ありがとうございます」

受け取ったのは、日本刀を発見したことを届け出たという証の書類らしい。

「いったんお持ち帰りいただいても結構ですが、箱からは出さないように気を付けてください」

他にも、法的な注意をいくつか受け、この日は警察署から出ることができた。

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