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混乱

それからさっきのかっこいい人と先生は出ていき、廊下で複数人の話声がして遠ざかって行った。

一体さっきの微妙な反応はなんだったんだろう?


望月蓮?って誰?私と似てて間違えてる?でもこう言っちゃなんだが自分は普通〜うの男子だ。伸びたくも無い髭もすね毛も生えるので、毎朝剃るのが大変だ。心は乙女だけれど(泣)


「はっ、そういえば事故から何日経ったんだろう。やだ〜髭伸びちゃってるよね!」


私は慌てて病室を見回した。

ここは個室だろうか?自分以外のベッドが無い。奥に鏡が見えたので駆け込んだ。


「あんなかっこいい人の前で髭だなんて〜!恥ずかしすぎる〜--ー--えっ⁉︎」

今、鏡の前にいる。確かに自分が立ってるはずなのに鏡に映る人は誰?!

 か、可愛い。 髪はちょっとバサバサのショートカット。目はぱっちり二重で形のいい唇。一見少年のような体付き。まだ中学生か高校生くらい。身長は160cmくらいだろうか?肌はやや日焼けしているが髭などなくツルツルだ。

「え、ええ?!身体ほっそ!」

鏡を見ながらクルッと一回転してみたり、足や腕を上げ下げしてみる。

「うん。自分が動かしてる。じゃ、じゃあここは...?」

入院着をペラっとめくって上から胸をチラ見する。すると小さいながらも女性特有の胸が見えた。


「#%!*€、っっくうううう!ー--ええええ!」


思わず股間も抑えたがーー無い!無いよ!これ誰よ!

自分だけど自分じゃ無い。願っても成れない女の子が鏡に写っている。

もの心ついた頃、男の子と遊ぶより女の子と遊ぶ方が楽しいと思った。少年漫画より少女漫画が楽しかったし、服もピンクが着たかった。ただ、昔それを施設のおばさんに言ったらこっ酷く怒られたし、皆には変な目で見られ出した。それで知った。男の子と女の子では好きになる物が違うんだと。もう少し大きくなると、当たり前だった自分の性器に疑問を持つようになった。何で自分は立ってオシッコをしてるんだろう?何で胸が大きくならないんだろう。気になる人は男の子ばかりだと気づいた。


女の人になりたくてアルバイトしたお金で女物の洋服を買ってみた。児童養護施設では着れないから外で着た。18歳で施設は出なきゃ行けないから、どうせなら遠くへ就職して好きな事をしようと、福岡のゲイバーに就職して、今は見習いのスタッフをしている。見習いが終わったら、綺麗なドレスを着て女の人っぽくなれると頑張っていた。

なのに『ぽく』じゃ無くてホントの女の子になってる。

ちょっと男の子みたいだけど理想の女の子に。

「ど、どうして〜え!え?えええ!?」


落ち着け自分。落ち着け!顔や体をペタペタ触って現実か確認する。混乱して考えが追いつかない。



「何やってるんだ?蓮」

後ろからまた違う男の人が顔を出した。


「うわ!誰ですか?!」

「あー・・・・蓮が蓮じゃないってホントだったんだ。」男はちょっと困った顔をした。

「まだ目が覚めたばかりだろう。ベッドに戻って話をしよう」


凄く優しく言ってくれたので、私はとりあえずベッドに戻って座り直した。でも頭の中は混乱して沸騰寸前だ。


「えー〜ゴホン。俺は佐久間 ケイ、お前とさっきここに居た男は、姫島咲良(ひめじまさくら)でルミエールってアイドルやってる。ルミエールは覚えてる?」

「いえ、いえいえ存じません!私、秋月誠実(あきづきせいじ)と申します。19歳です。電車の事故?で起きたらこの身体になってて⁉︎ アイドルってアイドルって可愛い格好するアイドルですか!!?」

「ぷはっ! いや俺らはカッコいい衣装を着て女の子に夢を売るアイドルだよ。くっく」


佐久間恵と名乗った男の人も超絶美形だった。優しそうな目に眼鏡が良く似合って、髪はやや長髪でところ所緑色になっている。自分より頭1つ分大きく背が高い。何やら私に対して笑いを堪えているようだが大人な雰囲気でドキドキする。あれ?混乱してドキドキしてるのかな?

「あ、あの、じゃあこの子は女の子なのに男装をしていると言うことでしょうか?」


「ああ。 俺らも蓮が女の子だったとは知らなかったよ。何で男性としてオーディションを受けたのか。デビューしたのは蓮が13歳の時で、体付きもまだ少年と言える物だったし、あれから3年。蓮は身体が大きくならねーなってからかってたんだ。だからなのか蓮は最近なにか悩んでたみたいだったんだ。」


佐久間さんははあーと息を吐くと真面目な顔になった。


「あのな、ちらっと医者が話してるのを聞いたんだが、蓮は嫌なことから自分を守る為に多人格を作り出したんだろうって。多重人格は元の人格は眠ってて、ひょっとした時に入れ替わるんだそうだ。」

「え?」

私はそれを聞いて、ある可能性を考えた。


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